t:久々に、円形舞台でしたけど。
m:円形って行っても、客席が円形なんじゃないしなぁ。
t:舞台に客席が割り込んでるのは、やりにくいですか?
m:やりにくい、って。うーん・・無理矢理作ってる客席だから自分がやりにくいより、お客さんが大変だったかもしれない。(台詞の)声が舞台席の方向には広がらないのでね。
t:上から見るとすごくきれいでしたね。
m:そうでしょうね、あの形は。
t:衣装は、ズボン二枚はいてたんですか?
m:ズボン下をはいてた。穴の空いてたズボン下。
t:マゴが、ヒメに「着替えておいで」て言われて、着替えて出てくるまで時間短いですよね。忙しい場面ですね。
m:忙しいっ!髪の毛がね、取れそうになったりして。
t:髪の毛?鬘だったんですよね?
m:俺?つけてない、つけてない。
t:長い髪のときと短いときとありましたよ?
m:エクステンションだもん。
t:え。
m:最初の登場のときは帽子の中に入れておいて、それで芝居が始まったら降ろしてた。途中で(エクステンションが)3本とれちゃって、また付けに行って。
t:えーえええぇぇぇっ。水下さんも長かったんですかっ。
m:そうですよ。
t:えー。
m:だから、(普段は)帽子かぶってた。(エクステ)付けっぱなしだったから。
t:そうだったんですか。あらー。折角だから、取らなければいいのにー。
m:邪魔っっ。
t:どうでした?「えっちゃん」は。
m:可愛かったですよ。
市原さんはなんていうか、いわゆる「私は女優」っていうことじゃなくて、「いい芝居を作りましょうね」っていう 方でしたね。「やりにくいとこがあったら言って下さいねっ」って言ってもらったりして、恐縮してしまいました。
t:市原さんて、私たちは「まんが日本むかしばなし」のイメージが強いですが。
m:早稲田小劇場(現・劇団SCOT)に出てたって話は知ってて、フィルムは観てる。「早稲小にも出てたのよっ」っておっしゃっててね。
t:実際の舞台の市原さんを御覧になるのは、今回が始めて?
m:ですね。
t:テレビの人だなあって感じですか?
m:いやいや、舞台の人。俳優座にいらしたし。ずーっと舞台やってらっしゃるし。
t:独特な声・台詞、ですよね。声が様々に変化して聞いてる側は気持ちいいなと思うんです。やり取りをしていてどうでしたか?
m:自然と変わるんですよね。もちろん変えようとして変えてるんだけど、やらしくない(あざとくない)。
映画もやってらっしゃるけど、舞台の人で、もう、映画でも舞台でもそこにあるものが全て。真剣勝負を常にしていらっしゃる。市原さんは、台詞がねぇーっ、無茶苦茶すごかったからねっ。
t:ええ。言ってる意味がわかんなくても、聞き惚れちゃう。
m:それはある、(身を乗りだして)それはあるっ。聞かせますよね。何言ってるんだか判んないけど、技術だけじゃもちろんないんだけど、上手なんだよね。気持ちも入れながら言ってるから聞いちゃうんだよね。
みんな(客席が)この声知ってるなあ、ってところから入って聞いちゃうってのはあるけど。
t:女優と女形の違いって何かありますか。いつもは女形相手ですよね。
m:違いますよ。女だもん。
t:女だもん?そりゃ、そうだけど。
m:違う違う、そういう違いじゃなくて、女と偽者の違いですよ。
t:間の取り方が、とかですか?
m:それは女優も女形も関係ない、役者の個々の問題。個人個人の間でしょ、男同士でも女同士でも違う。
ある意味女形って偽者でしょ。男女で立ってるって場面でも、言っちゃえば野郎二人が立ってるんであって、片方が女に見える。きれいな女に見えてる隣に居るんだから、偽者で化け物なんだから、そこにまなざしが集まるでしょ。それに負けないように居なきゃいけない。
相手が女優(本物の女)ならそういう(対バケモノへの)エネルギーは使わない。女形がきれいに見えるってのは、男が(女形を)きれいに見えてるとお客に伝えないといけない。在り方として。感情だけじゃなくて。
t:市原さんて、水下さんと並んで立つので余計になんですけど、身体的には小さいですよね。でも、常に舞台の中心っていうかどこに居てもさっと眼がいくのがすごいなあと。他を観たいんだけど、眼が市原さんを観てしまう。
m:そう、すごい人なのよ。
すごくいい経験でしたよね。いろんなものを市原さんからいただけたと思います。何をどうってことではないけど。新劇も商業演劇もいろんなことをやってて、舞台の上での集中とか真剣な気持ちとか。すごいんだけど、気負いがない。少女のような素敵な人でしたね。
t:ときめいちゃうような?
m:ときめいちゃいます。