帝:江戸チームと公家チームみたいな連合はないんですか?
水:いや。まだ抜き稽古だから自分の場面のお稽古時間に合わせて来るからねえ。
人によっては、観ていたい人は、自分の場面以外でも早くから来てる人もいるけどね。
帝:前回(花たち女たち)ご一緒された新派の方々は今回も何人かいらっしゃるんですか?
水:ああ、たくさんいらっしゃいますよ。嬉しいですよね。あ、おひさしぶりー。またお願いしまーすって。
帝:ピーさんはどうですか?
水:すごいいい人よー。
帝:(こっそり)怖そうですけど・・・・。
水:間違ったこととか、いい加減な仕事じゃ怖いんだろうけど。
帝:お綺麗?
水:綺麗だよー。
帝:(恐る、恐る)あのーっ、ピーターさんと女優さんというのは火花が散ったりするんでしょうか?
水:ないよ。女形と女優は違うからねえ。
帝:違うんですか?
水:違いますよ。
うちの女形たちはね、愛されてるって感じがする。なんかね、ああちゃんとお芝居が出来る面白い生き物として見てもらってる感じがする。
帝:い、いいいきものですか?。
水:(女優さんたちも花組芝居の女形に)興味あると思うんだよねー。
帝:男なのにって?
水:いや、男だってことは分かってるんだけど、間近で観ないじゃない、あまり。
久里子さんが加納を見て、「ああ、おじ様(歌右衛門)そっくりー」って。(加納は)何やってるんでもないんだけど、
居住まいが歌右衛門のおじ様そっくりなんだって。「似てるわー」って(久里子さんが)すーごい反応してる。
帝:わははははは。
水:久里子さんが加納の中に歌右衛門を見出してるっていうのがすごいよねえ。
帝:男子チームもてもて?
水:ないない、ぜーんぜんない。だって場面違うんだもの。挨拶くらいですかねえ。
今回も、大典侍・新典侍を男の方がやるんですけど、初挑戦なんですって。
帝:へえええ。
水:男の体で、っていう前提で女をやるっていうのは面白いんだよ。
帝:英さんてどうですか?
水:お素敵よっ!
ほんっと女形さんなんだよね。すごいなあって。なんかやってないようなんだけど、ちゃんっとやってるんだよ。
帝:それこそ、居るって感じで?
水:ああ、ほんとすごいなあって。
帝:英さん見てると女形やってみたいなって思いますか?
水:そんなことはないです。
帝:加役っていうんですっけ?男を隠さない女形ならやってみたい?
水:そういうのならね。やってみたいかな?
帝:岩藤みたいな?
水:そうだねえ。
でもそこ(女形)に、演じるってことの大きな要素があるよね。
(女形っていうのは)男が女を演じるっていう嘘があるじゃない。でも嘘を本当のことの様に観せるわけじゃない?
それが演じるっていうことだから。嘘っていうのは、「演じるっていうこと」だからね。
だから、立ち役っていうのがあって、男が男を演じるっていうことの答えやヒントもそこにあるんだと思うよ。
一番距離があるじゃない、男が女を演じるっていうのは。
帝:じゃあ、男が男(立ち役)をやるっていうのは簡単なんですか?距離短いですよね?
水:いや、男が「立ち役」を演じるっていうことだから。
帝:「男」を演じるじゃなくて、「立ち役」を演じるっていうことですか?
水:そう。演じるっていうことが大事なんだよ。役っていうのは演じることなのね。
役と俳優との距離が演じる上で大事なのね。成りきらないといけないとか、役と役者の間に距離がなくちゃいけないって
人もいるけど。観てるお客さんがその役に観えてるってことが僕の中のリアルね。
帝:立ち役も、立ち役っていう嘘を演じているってことですか?。
水:そらそうでしょ。だから女形っていう役と立ち役っていう役があるんだよ。
女形の中には演じる要素がたくさん入ってるんだよ。そこから自分の物に出来るかどうかっていうのが難しいんだよねー。
人形劇なんてまさしくそうじゃない。動かしてる人に心がなくちゃ人形は動かないでしょ?あの距離だよね。
帝:ほぼ1ヶ月の長丁場の公演ですが、体力管理とか考えたりするんですか?
水:いえそんな。
帝:・・・はい?
水:遅くまで飲むなっていうのはあるけど。リズムが出来るからね、若くないからそんなやんちゃもしないし。
帝:やんちゃね。
水:しなくなったし。
帝:してたんですか?
水:若い頃はねー。
帝:ほー。
水:後はね、ちゃんとやろうー、って思っております。
帝:ちゃんと、とは?
水:頑張らないってことを大事にしてしっかりやる。
帝:頑張るっていうのは、体に力が入っちゃってるってことですか?
水:ちゃんとやらなくちゃ、って思っちゃうと、すっと立てない。
帝:台詞が出ないとか声が出ないとか?
水:じゃなくてね。埋まらない。広がらないんだよ、気が。すっと立ってるときには、パーッと広がるっていうのかな?
もう見て見て見てー、っていう力が入っちゃうとうるさいだけなんだよ。
場面によっては、「見ろ見ろ。ここが見せ場だ。お前ら見とけー」ってのもあるよ。でもそういう場面じゃないのに頑張っても、
うざいだけじゃない。おまえ、いい加減にしておけよ、若くないんだからってのがあるじゃない。
力抜くったって、全部抜けていいわけじゃなくて、腹には力入ってないと駄目だしね。
たとえ二日酔いでもそこに居られてればいい。まあ、居る・居ないを決めるのはお客さんだからね。
どんだけ自分が居るって思っても「お前居なかったジャン」って言われればしょうがないけど、
ま、そう見えるようにってことを大切にして、自分の経験とか人生観とかをそこで生かしていくわけですよ。
帝:なるほど。
水:ちゃんとやらないとね。
帝:ちゃんとやってますか?
水:ちゃんとやろうとしてます。