ハイ☆ライフ直前インタビュー



「花と竜」バック(ゴクネコの物販にありましたね☆)を肩に旦那ご登場〜

帝国:夏休みは如何でしたか?

水下:のんびりいたしました。

海を眺めて?。

そうそう。

きれいなおねいちゃん眺めて!

おねいちゃんいなかった。日本人もいなかった。

ダイビングはされましたか?

しませんでした。

ちょいと焼けましたね。

ずーっと日焼け止めして、長袖着てたんだけど、最後の日に油断して海でちょっと遊んじゃったからね。

チラシと台本を持って行くのを忘れなかったのはすごいすごい。

今回あれ撮影しに行ったんだもん。(威張り)

チラシだけでなく台本まで持参! 台本も読んだんですか?

読みましたよーっ。(何もすることがないとこだもん。)

何ページ読み進んだんですか。

いや。いーじゃないの。ぼーっとしてビール飲んで海をみてビール飲んで・・・過ごしました。

バカンスですな。

ゴクネコでは久々のゲストを迎えての公演でしたね。スポット的でなく、ちゃんとお芝居に出演という形では「雪之丞変化」以来でしたね。

そうですね。いい反応があったし、(小太郎さんは)刺激になったし、愉しかったですよ。

私たちはご祝儀の渡し方を学習させていただきました。 ああいう時はご祝儀袋を売って下さいよう。そしたら、ご祝儀袋に入れてさくっと「薄い」ご祝儀をお渡し出来るのにー。

いや、やろうと思ったんですけど、時間がなくて出来ませんでした。

今後の検討課題にしてもらえると嬉しいです。

そうですね。

今回みたいなふれあいタイムがあると、ごめんなさいってちょっと席を立って渡せるかなーと思いましたね。
これからは「素敵なおば様」を目指さないとねって学習しました。

ああ、素敵なね、おば様目指してくださいね。

千秋楽、小太郎さんに突っ込まれてましたねー。

ねえ、もうみんなに突っ込んでたからね。(小太郎さんが)嬉しそうに「大丈夫加納ちゃんに許し貰ったから」って。

ははははは。 小太郎さんに突っ込まれて石像になってましたねえ。
「あっちへ行け」って言って「何でですか?」って言われてかたまってましたよねー。

「どうしようかなーっ、どう答えようかな」って考えてたの。

もー小太郎さんぐっじょーっぶって感じ。
そういえば、三日目あたりで台詞抜けた日ありましたね。

抜けたんじゃなくて、違うことを喋っちゃって、「あ、違うことを言ってしまったー。どうしようかな」って考えちゃったの。

咄嗟に解るんですか?あ、違うこと言っちゃったなーって。

解るよ。そりゃ。

違うこと言っちゃって、あ、話が繋がらないなーと考えちゃったんですか。

そのままでもいいやって流せる時はそのまま流していっちゃうけどね。

ゴクネコは面白かったですねえ。

評判も良かったですからね。まあ最初ちょっと出足がゆっくりだったけどね。

うーん。花組芝居のお客さんが小太郎さんを存じ上げていないということもありましたから。
ちょっと戸惑いはありました。
ただ、やっぱり花組芝居って変化のある芝居作りをするなあと実感する舞台でしたね、今回も。
この間こうだったから次もきっと同じだろうっていう期待をがつんと小気味良く裏切っていくというか。

小太郎さんをまた見たいなって思ってくれる人が増えてくれたら嬉しいですね。

ええ、真吾十番勝負は見たいです。
今回花組芝居を観に来て小太郎さんのファンになって帰って行く人を2人ばかり知っていますよ。

ところで、「ハイ☆ライフ」のお稽古はいつからですか?

7月1日からですね。

はじめてから2週間でもう立稽古に入っているとは早いですね。

(立稽古は)8日からやってるかな。    

前に佐藤治彦さんが面白いよって水下さんに話してたジャンキーの話が「ハイ☆ライフ」ですか?

そうそう。佐藤さんに面白い本があるよって教えてもらって、(今年の)12月に俺がやろうと思ってたの。
読んでキャスティング考えてた時に、花組芝居の制作が加納にも読ませたのね。
制作としては加納にも普通の芝居をやらせたいという意図があったんですよ。ストレートプレイをやらせたいと。
大仕掛けなんじゃなくて普通のも出来るんだぞと宣伝したい部分もあったんだよ。

普通の芝居をやるっていうのは、役者として芝居をする?それとも演出をする?

演出をする方。
で、加納が読んで「俺の役がないっ」と。

(一同大爆笑。)

でも、「お前がディックをやるなら、俺は演出する」って言い出したの。

あ、じゃあもう加納さんの中では読んだ時からディックは水下さんだったんだ。

加納の中ではね。
お前がこの役なら俺が演出する。制作は演出させたい。
じゃ、そういうハナオフもありにしようと。プロデューサーとしては俺なんだけども。

今回は水下さんがある程度考えたところで加納さんにタッチ交代なんですか?

いやでもねえ、もうやり始めたら加納の芝居。

水下イメージはあったんですか?

最初のイメージはあったんだけど、小屋見て「あーしよこうしよ」はもう加納のプランになっていたな。

水下あーんど加納演出?

いや、もうめちゃくちゃ加納演出。俺ならこうしないなってとこもあるもん。

ほー。
そこは「ハイ☆ライフ」観終わってから聞かないとですね。

イメージがもうおしゃれだもん。

ドラッグな男達がおしゃれ・・・ですか?。

だって、(音楽は)バッハだもん。

ジャンキーな野郎どもとバッハー?。

そう。

ナチュラルな芝居というのはなんですか?。

様式じゃない。なんとかでなんとかでって(歌舞伎口調で)言うのではない芝居。
普通の日常会話で喋ってる時代がかってない芝居。現代の世話物よ。

じゃゴクネコと同じですね。

違う違う。全然違う。

ゴクネコって現代語でしたよ?

違う違う、あれは衣装から違うもの。時代物だもの。喋りは時代劇だったでしょ。
もっとストレートプレイって違うじゃん。今ここでこうやって会話してる状態、今まさにインタビューしてるこの状態のままな感じ。

なるほど。
加納さんがこんな少人数を演出するって今までにありましたっけ?

去年の「高野聖」は五人くらいでしょ。少人数の台詞劇っていう意味では花組芝居では初めての演出かもね。
あ、外でもないかなあ? なんか大仕掛けって印象があるじゃない、加納芝居は。
今回はエンターティメントっていう部分じゃないとこでやるっていう芝居かな。

小さいところでの加納芝居ってどうなるんだろう?っていう楽しみがありますね。

いや、俺達の始まりは「タイニイアリス」だもん。

いえ、場所がじゃなくて、人数が。

全然そんなのは関係ないんじゃない?。(加納は)一人芝居はやってるし。(「好色芝居女」横内謙介作・演出)
俺ん中では今まで観た中では最高の一人芝居だな。

ご自分では一人芝居はしないんですか?

俺は俺がやるなら役者より演出したいんだもん。
まあ役者として呼んでもらえるなら行くけどさ。だからこれ(「ハイ☆ライフ」)も演出したいんだよ。
これはすごく四人で面白いから、加納版は加納版で。また他の面子で俺が演出をしたいなと。
まあ難しいのは、加納演出と変えなくちゃとか意識して引っ張られちゃうかもしれないけどね。
俺はもっとだるーくやってみたいなとか、能天気―な感じでいきたいかな。
でも加納版の良いとこは貰ってね。

ハナオフっていうのは、大仕掛け!エンターティメント!って感じではないと。
控櫓興行ではないんですね?

俺がプロデューサーとして責任者ってことでやります。

それは去年の「鉄塔」の時に言っていた「演出は自分でなくてもよくて、制作総責任者ってことで水下がやります」っていうことですか?

そうそう。誰が演出でも役者でも良いんだけど、責任を負う人は必要だから。演出や役者とは別にね。
で、その責任を俺が持ちますよと。

ハナオフは基本的には水下責任企画なんですか?

そう思って貰っていいです。

例えば原川さんや誰かがこの話をやりたいんだけどってプランを持ってきたら、演出は誰、役者は誰って言うことは持ち込んだ人に任せて責任だけ持ちますよ、なんですか。

そう。
花組芝居の素材を本公演とは違う形で料理できたらいいなって言う気持ちがすごくあるんですよ。そのための企画だから。
基本的には少人数でね。取れれば公演数は長く取りたいけど。東京以外にも行きたいし。
そうするとやっぱりシンプルなほうが動けるじゃない。

素材を味わう芝居っていう感じですね。

本公演と同じことやってもしょうがないからね。

HON-YOMIとは違うんですか? 

違いますよ。
最初は加納がやりたいんだけどって言い出して、じゃハナオフっていう形でやってみようってなったんだけど、 HON-YOMIは必ず加納が絡むものだしね。

HON-YOMIは加納幸和セレクションで加納幸和演出なんですか?

そうそう。

リーディングという本公演みたいなもの?

本公演ではやらないけど、実験的にやってみたいなってことをリーディングでやってる。
やってみて本公演でいけるなってなればまた公演をするかもしれないし、もっともっとHON-YOMIっていう形で確立していきたいし。本公演みたいに着飾る芝居じゃなくてね。
二回目にHON-YOMIってスタイルでやった時に「ああ、こうゆう形でもやっていけるんだな」ってことがわかったし。
加納としては舞台じゃなくて俺らに読ませた時にどうなるかっていう実験みたいなことをやりたいっていうのもあるんだよ。平面(HON-YO

I)でやってみて、立体(本公演)にしたらどうなるかなあっていう実験が出来るじゃない。
なのでじゃあHON-YOMIってジャンルにしましょうってことになったんですよ。

HON-YOMIっていうジャンル?

イベントじゃないからね。やってみていけるなと。まあ半分イベント的なとこはあるんだけどね。
お酒も飲みながら楽にね。HON-YOMIは何もないじゃない。照明とか入れないし。でもこのままで照明を入れたらまたちょっと舞台公演みたいな形にも発展するし、そうなっていけば面白いしね。

ハナオフは俺としては毎年一回はやりたいのね。今年は演出取り上げられちゃったけど(苦笑い。)
borobonでやるのもいいんだけどさ。でもborobonで花組芝居の役者が(花組芝居じゃない)別の名前でやると分裂だとか言われちゃうからさ。
だから座内ユニットみたいな感じでいこうと。
最初はね、若手中心でっていう気持ちもあったのね。自分がお客さんを引き受けるってすごい大事だから。
俺達はそういう事を経験させてもらって来てるから。
4,5人くらいでやれば2チームでも出来るじゃない。
だから12月のハナオフがなくなったので、そのあたりで何か出来るかなぁって今画策してるところ。
来年は春かな?うさぎ庵があるんだ。嬉しいよね、自分に宛てて(台本を)書いてもらえるっていうのは。
それで(うさぎ庵で)北の方へ行きます。

いってらっしゃいませ〜。

水下きよしの印象が変わってきたなあと、ゴクネコで思ったんですよ。

歳取ったから。

えーと。違います。

うーん演出やるようになったってのはあるよね。多分。

「いろは」の時に、「水下さんならもっと(芝居)やれたんじゃない?」って言う人がいたんです。

ちゃんと芝居してたよ。

いや、なんか前半と後半の落差があるから。前半わりと抑えた芝居なのかなーって思ってたんですけど。それが抑えた芝居なのか、やってないのかちょっと悩んだって。

あー。

今までだと、「水下登場しましたっ。俺はここに居るんだぞー」ってランプがばーんて点灯してるみたいな感じだったんですよ。「俺はここにいるから俺を見ろー」って。

まあ、そういう役が多かったからねえ。

その話はすっかり忘れてたんですけど、ゴクネコを観てて思い出したんですよ。
重左衛門登場しました、の場面でなんか俺ここに居るぞーランプ点いてないんです。「居る」んです。
なんか、「じゃーん」って感じじゃなくて。「あ。居るなあ」って。

うーん。出来てるかどうかは解らないけど、俺の目標はそこよ。すっと観ただけでかっこいいていうか。
孝夫さんの頃に、四谷怪談観て、(孝夫さんが)なんにもなくすっと出てきて「おめえも悪だな」って言うだけなんだけどもう「くう−っ、なんてかっこいいんんだぁぁ」ってね。(身悶え)
言うだけ。動作がないの。でももう格好いいー。

そういうの。これでいいんだあ、これがいいんだっていうのはあるな。
もうすっと芝居に入って来てその場の空気になるっていうか、空気が(その人に)すっと変わるっていうのか。
これが出来るかどうかなんだよね。出て来てすっと立てるというかね。
バーンと出ないといけない役はもちろん、ばばーんと「俺はここだーっ」って出るけどね。
花組芝居の役者はね、わーっと出て来てもすっと気配を消せるんだよね。
八代なら八代が真ん中でわーっとやるんだけど、次の人に「はい」ってさっと場を渡せるの。

フォークダンスの時のパートナーチェンジがすごくきれいに出来てる感じ?

そうそうそう。
自分がばーんとやって、次の人に渡した後も、おれおれーってんじゃなくて。
自分の役目が終わったらすっと気配を消せるのが日本一上手いんだよ、花組芝居の役者は。

センターの人が入れ替わるのが「わざわざ」じゃなくて繋ぎ目滑らかですよね。

コレはもうね絶対。
だから、頑張らないで立てるっていうのが一番かっこいいのよ。
そりゃ、「あたしあたし」ってばーんとアピールするのも大事よ。でもこう、無理してないのにささっと出来ちゃうのって格好いいじゃない。
仕事もそうでしょ。いかにも「あたし出来ます」ってんじゃなくて、いつの間にかささっと出来てると「おお」っていうとこがあるじゃない。
成長してるからさ。俺も少しずつね。

縦とか横とかじゃなくて内面が、ですね。

そうそう。一応ねー、45年くらい生きてるからね。少しくらい成長しないと怒られちゃうからね。

大草原でビールがーっと呑む野生児っ!からだいぶ印象が変わりました。

俺はあれよ、山の上から見下ろして、「あ、こいつこーんなとこであーんなことしてるー」って見てるのが好きよ。

それはイヤな奴だな。

でもDCとかで若い人見てると面白いし、許せる事が増えてくるのよ。
なんで出来ないのかなーとか、すぐ出来ないってことがたくさんあるじゃない。
じゃあどうしたらその人間の持ってる何かを、どうやって引き出せるのかなあってことを見つけ出していくために見てることは大事なのよ。
ただ爆発しても駄目なのよ。いい芝居を作るためなら言い合いもアリだよとかね、そういうことが解ってくる。

そこに面白いものを作ろうって思うエネルギーがあるってことが大事なんだよ。
その場面でわーってなった混乱をまとめるのがプロデューサーだから。
一生懸命から演出がばーんて爆発しちゃうとことかあるじゃない。そういう時にプロデューサーが双方の話をちゃんと聞いて流れを良くしていかないといけない。
面白いものなんだってだからいいものを作ろうってところから出発してるんだから。
でもつい忘れちゃうんだよ。
芝居作る時のよりどころって「面白いから作りたい」なんだよ。
だから演出は面白くするために役者に要求しなくちゃいけない。演出が役者に遠慮して言えないのは駄目なんだよ。
そういう時にプロデューサーは役者たちに演出を信頼しなくちゃって指示出来ないといけない。
プロデューサーっていうのは信じてる人なんだよ。
この人が信じてくれてるっていう信頼があるから、一緒にやっていこうというのがあるんじゃないかなあ。
だから仇討の時も俺はともちゃん(中尾隆聖氏)が俺を信頼してくれてるっていうのがあったから安心して出来たんだよ。
逆に演出がつまんかったらこれはちょっとつまんないよって話をしていくの。

うーん。話を伺うと「ハイ☆ライフ」の役(ディック)とハナオフでの役目とが似てますねえ。

似てるかな。全然違うよ。まんまなんだけど、違うよ。似てる俺なんだけど似てない。
なんか無理をしないでちゃんと出来ればいいんだよ。格好つけて違うエネルギーが働くとノッキングしちゃうからね。
だから俺に似てる部分が出るのは出てもいいから、無理しないって思う。

普通で素な感じ?飲んでる時のミズシタ?

飲んでないけどね。飲んじゃうと台詞出て来なくなっちゃうからね。
お、天の声がする『飲まなくてもだろ』。ははははっ。
俺のことを知らない人は「ああこういう役をやってるんだ」って思うし、知ってる人は「水下っぽいね」って思うだろうし。
自分であることを否定しないで、ディックでありたい。一生懸命じゃなくてね。

ハナオフは二年続けて暑い時期ですね。
夏はハナオフ。冬はひとりかい。(今年も開催決定!)

(ひとりかいで)読みたいなあっていうのはあるんですよ、こんなふうにしてとかね。

楽しみにしております。

ともちゃんとまたやりたいしね。

プランがまたたくさんおなかに詰ってますねえ。

いえいえ。
(DCと)やるとしたらね、今度は溌剌な感じで。

うっそだーああ。
恋愛日記2、ともちゃんと水下さんが面白いって言ったーっ。

面白いじゃない。人間のどろどろが。

えええ。

面白いって。ドラマとしての出来が、よ。
仇討もすごく悲しい話だけどドラマチックだし。
いまDCの本公演でやりたいのはねえ。えーとあれだ。あれ。それ・・あー。脳細胞が死んでる。

頑張ってー。

えーとね。

飲みすぎですね、明日はお酒控えてください。

出てこねー。うわ。脳細胞繋がってくれええ。

何分で思い出しますかねぇ。

うー。すっごい出てこない。

タイトルは何ですか?

なんとかかんとかのなんとか。

・・・わかりません。(きっぱり。)

それを出来たらいいなぁと、思ってるの。

仇討の再演はないんですか。

やりたいんだけどね。ともちゃんは海外でやりたいみたい。

海外―?海外に行っちゃうの?仇討で?

行く行く、演出家だもんっ。

いってらっしゃいまし−。

そういえば。なんで稽古場日誌で「フレーフレーみずした」と言われているんですか?

だって俺、台詞いっぱいだもん。三分の二が俺。

おおぉ。脳細胞死なせてる場合ではないでないですか。

大変なんだよ。お酒飲んで活性しないと。

シナプス減りますよ。

うそん。

それで、生きてる言葉ってなんですか?

役者の体が生き生きして、喋ってる言葉。観客に生き生きと感じさせる言葉。
それは時代がかっていても内面から出てれば生きた言葉。

役者が生きた言葉として発したつもりでも観客にただの音としか感じられなかったら、それは生きた言葉じゃなくなっちゃうんですか。

そうそう。そういう「言葉が音になっちゃってるよ」ってことを見てるのが演出家。

(観客に)伝わる言葉が生きている言葉だと?

そう。だから届くから感じるでしょ?
台詞が言えてる・言えてないっていうのは、届いてるか・届いてないかってこと。届かないなら捨てちゃう台詞だってあるんだよ。生きた言葉が言えてるっていうのは舞台で生きてるってことだからね。
ただ演じてるっていうんじゃなくて。そこに役として生きてるんだよ。
どばーっと怒鳴ればいいってもんじゃないし。日常で喋っていても言い方に加減ってものがあるじゃない。
全部言い切っちゃえばいいわけじゃなくて、抑えて言ったほうがいい時とかあるでしょ。
それがわざとじゃなくて、芝居で出来るってことが生きてるってことなんだよ。
ただ芝居をやってるんじゃなくて、ね。
伝えようと思うことがあるから丁寧だったり、感情が盛り上がるからだーって言ったりするのを「お芝居」で出来てるってこと。

それは、マイクを使っても使わなくても同じですか?

同じ同じ。
気持ちが届くかどうかってことだから。届いた言葉が生きてる言葉だから。
お客さんが聞く前に、演出家が届いてるかなってことをちゃんと聞くの。
独りよがりで喋ってるのって嫌じゃない。自分の台詞に酔ってるのって駄目だから。
そういう役ならそれはアリだけど。
もう自分の台詞に自分で酔っちゃってると嫌でしょ?
普通に友達と会話してて話がのってきたら熱が入ってくるじゃない。でもその熱の入り方がわざとらしいと変でしょ。
前も言ったけれども、(人は)誰でもやってるんだから、喜怒哀楽があって。それを表現としてやるのが芝居だから。
嘘の世界で本当を「やってみせる」ってことね。
空間の中にいる・あるってことを大事にしてる。自分として立って居ることを大事にしていきたい。の。

それは役として?

違う違う、俺として。俳優として。
だらだらと力が抜けててもいいんだよ。ただ真ん中に一本の線が立ってるってことをしたいのよ。
そのために頑張っちゃうんだけど、頑張ってるように見えなくて、すっと力を抜いてそこに「居る」っていうのがしたいんだよね。
俺という媒体を通してその役が舞台に存在出来ればいい。自分であることは否定出来ないから。
今の自分を通して舞台で居られるっていう実験してる感じではあるかな。
俺で居られるってことは大事だし、自分で出来るようになりたいし。演出の時は要求するしね。
愉しい。悩んでるんだけど、愉しいね。
役者が舞台の上で生きてるってことが出来ないと言葉は生きてこないから。
だからお芝居を観に行って、役者が生き生きしてないと、ああつまんないなって思うし。
この間、芝居観て「ああ、つまんないなあ」って思うところがあって。演出のせいだなあって思うことがあったんだよ。だって俳優が楽しそうじゃないんだもん。

他の芝居観にいくと、やっぱり演出の目で観ちゃうんですか?

観客として観るんだけど、つまんないなーって思ったら何でだろうって考えちゃう。
(その舞台で)登場人物ごとにエピソードがあって、個人個人の話は成立してるけど、周囲と繋がりがないんだもの。あれはねえ駄目ですよ。

こうしたらもっと面白くなるのにとか、そういう目で観ちゃうんですか?
純粋に観客として観るっていうのはないんですか。

あるあるあるよー、面白いなーって観ちゃうよ。(舞台に)知ってる人が出て来ると駄目だけど。ああ、こいつ上手いなーとか、いいなあって思って観ちゃうけどね。
でも割と純粋に観客として観ちゃうから笑っちゃうし泣いちゃうんだよ。で、すぐ芝居に入り込んで泣いちゃうから一人で観るのが好きなんだ。
だからつまんない芝居でも、面白いなーってとこはあるじゃない。そうするともうそこは観入っちゃうよ。

加納さんかな?舞台観るとつい演出家の目で観ちゃうから舞台は楽しめないっておっしゃっていた気がします。

あ、俺そういうのない、ぜーんぜんない。泣いちゃうもん。すっごい泣いちゃう。人が泣かないとこで泣いちゃう。どんな場面だったかって説明するだけでうるって来ちゃうから。
自分の人生で過ごしてきた中で(自分の気持ちとして)ダブるとこがあるじゃない。もうそこでダーっと。
音楽とかもそうじゃない?音を聞いてふと思い出すことがあるじゃない。
つまんない芝居だなあって思うものでも、ひとつは良い台詞だなって思うのがあるじゃない。そうするともう役者が意図する以上に自分で膨らませちゃってすごい感動しちゃう。で、泣いちゃって「あー、暑いなー」とかごまかしたりして。


「ハイ☆ライフ」で気になる役はありますか?

ドニーかな。

松原さんのお役でしたっけ?

繊細な演技が要求されるし。
演じ甲斐があるんだよ。おどおどしてる人なんだけど、実際に舞台でおどおどしてちゃ駄目じゃん。
カナダで上演した時はこの役者さんが賞を貰ったの。
それは、その(おどおどした雰囲気の)演技が伝わったからってことでしょ。

カナダや、他の劇団で上演した舞台の映像資料といったものはないんですか?

ないんです。映像って言うのはすごい権利が難しいんですって。
今回上演許可取るためにお願いした時、テレビでも放送したいって話があったんですけど、舞台はどうぞどんどんなんだけど、映像はテレビ放映でもだめなんですって。映像の権利は別なところが持っているらしいんです。

あら、じゃ舞台でしか観られないんですね。

そう。DVDも作れないから。

舞台でしか観られないハイ☆ライフ。
そういえば、無精ひげ?は役づくりですか?

ま、一応ね。
男子校の男の子がそのまま大人になっちゃったなあって感じの奴らの話だから。
面白そうだからやってみようぜーってやってみたら、あら失敗しちゃった。けどやっぱり面白そうだからまたやらかそうぜーって。お前ら懲りねえなって感じの男達。すかーんとしてる。
綾央がカラっとした話ですねって言ってたよ。

はあ。カラッとですか。

カラっとしてる。ほんとお前らは本能だけで生きてんなあって。だから「ハイ☆ライフ」。

明日じゃなくて「今」。

そ。男のばかばかしさ、かわいらしさが出てる芝居。

秘密基地で作戦立ててるのが愉しくて仕方ない感じ?

そうっ、もうポシャってもすぐ、次いつ秘密基地作るー?って。
「馬鹿だなーお前ら」ってのが見えてくるといいなあ。
一生懸命に見えないんだけど一生懸命やってる。

綾央さんといえば、彼も印象が変わりましたねえ。

良くなったでしょう?(自慢気)やっぱりね、上手くなろうっていう気持ちは大事なんだよ。

取捨選択というか、やらなくていいこと・やらなくちゃいけないことの見極めが出来るようになってきたなあっていうか。

そう。舞台の上で余裕が出てきて、今自分がやってることが見えてきたり、わかってきたりしてるの。
台詞も一杯言って、ちゃんと台詞を言ってる自分がわかるようになってきた。

経験を「積む」って言うことが出来るようになったんですね。

そう。

舞台に居ても不安そうじゃなくて、先輩と一緒に居ても先輩に埋もれてないなあと。

そういう「居る」ってことが出来るようになったんだよ。

しかも、居る空間からすっと消えるし。

そうそう。
その切り替えがすごい大事なの。

自分がどう居るのかってことが見えてきてるってことなんでしょうか?

そうだね。秋葉もそうだったの。大きな役やって伸びた。だからあとは自分で今度はどんな風に自分で頑張っていかれるかってとこなんだよね。

竜田さまと重左さまの夫婦はあの短い時間のやり取りなんだけどすごく呼吸が合ってましたよね。いいコンビだなって。

そう思って貰えると嬉しいですね。

弾丸で自分の責任でコーナー持ってやったのは大きかったってことですね。
秋葉さん器用だなあって思いますよ。

全然器用じゃないよ。

うそおおお。

自分が場面を背負うって経験があったからだよ。もう台詞忘れても詰っても「お前が」なんとかしろという経験を積むと、乗り切る力が出てくるの。
で、弾丸で出来るんだから、俺の時(加納の芝居)でもやれよなと。
アトリエ(DC)でも言うんだけど。
(役者が)「出来ないです」って言うんだよ。でも出来ないからお稽古するんだから。
出来ないんじゃないんだよ。(自分が)出来てることを知らないんだよ。で、自分が出来るんだってことが解ればいいんだよ。

後輩がそうやって伸びていくのをいいなあとか羨ましいなあとか、あぁ俺も昔伸び盛りがあったなーなんて思うんですか?

ないないない。俺も昔あんなだったなーなんてない。俺だって今成長してるもん、たぶん。だから俺も頑張らなくちゃっていうのはあるよ。
人と俺では伸びる時期なんて違うし、上手くなったなあって思ったら、あ、俺も上手くなっちゃおうって。
どうするのって?どうやって上手くなったの?って聞いちゃう。

聞いちゃうんだ。

聞いちゃう。後輩とか関係ないもん。上手くなりたいからどんどん聞いちゃう。

演出をして、ご自分の演技は変わりましたか?

自分が考えてることがこういうことだったんだなあって、明確になってきましたね。
自分がありたい、と思うことと、実際やってることが違うってことがやってみないと解らないんだけど。違ってたら「ああ違ってるな」とか「こうだったんだな」ってことがわかってくるし、必要なテクニックがわかってくるんだよ。ああ、これが出来ないといけないんだって。
舞台での自分が見えないといけないし、見えてきたらもっと上手くなりたいって這い上がらないといけない。
だから人に意見してもらったり教えてもらうって言うのは大事なんだよ。
何回もやって発見していくのはすごい大事だね。

だからDCのアトリエ公演に今年関わって、これからも暫くは関わっていけたらなーって思ってる。
お互いがちょっとずつ解ってきたなあっていうのが出来てきたから、この後若い人たちがどんな風に変わっていくのかを同じ人がちゃんとフォローしていく必要はあると思ってるから。 上手くなっていくー自由になっていくーのが見えるのって愉しいしね。自由になっていく過程を見届けたいしさ。
で、「お前下手になったなあ」なんて(冗談が)言えたりするのが楽しみなの。

やりたいことやら野望やらまだまだまだまだたくさん尽きることないですね。
「ハイ☆ライフ」では力抜けて一本線がすっと立ってて、一所懸命じゃないノーテンキな奴を拝見できるのを楽しみにしております。
本日はお忙しいところありがとうございました。

ありがとうございました。



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