◎インタビュー 2

大阪公演でのメンバー紹介で「この人のせいでいろいろあったから」と加納さんがおっしゃってましたが、あれは水下さんご自身のことで?

いやそれはお話のことでしょ。俺はそんなにいろいろなことしてないよ(笑)

帝のこと? まぁ帝がいろいろしなければあんな話もなかったってわけで。

いや生まれたちゃったのが光源氏ってなだけでしょ、帝は正直だっただけ。その時代ではひとりだけを寵愛するってのはいけないことだったんだけどね。 一番好きなんだけど、他の人にもまんべんなく愛情を注がなくっちゃならないし。

でもやっぱり『自分ひとり愛されたい』って欲求を皆が持っているから書かれた場面のかも知れないですね。

うーん、わかんないよね。昔と今の恋愛感って相当違うと思うんだよね。
男と女の関係って、独占はしたいんだけど「愛されたい」「愛してくれればいい」ってのがあるじゃないですか。当時の恋愛観は、今の明治以降の教育を受けた一夫一婦制の僕らにはわからない感覚だと思うのね。だから(自分だけが、じゃなくても)大事にしてくれればいいんだろうし、帝がいけなかったのは(全員を)大事にしなかったことなんだよね。子孫を残すのがお仕事だし。
もちろん嫉妬心はあるわけだから、それじゃそうやって愛された相手は、愛されなかった相手はどうなっていくのか、・・って書いたんじゃないのかな。

当時の女性が源氏(物語)を読んでいて「あらっ。えっ?次はどうなるのかしら?」って楽しみにしてたんじゃないかと考えるのですが。
あれがごくありふれた話だったらあれだけ読みつがれてきたとは思えないので。

いやそれはわかんないよ。それは現代の日本人の感覚なんだから。逆にさ、ただ単に男の人のセックスの話だったかもしれないし。
かえって(当時の)エロ本だと思った方がいいんですよ。おもしろおかしく書いてあって、セックスのこともいっぱい書いてあるんだし、原文は。

今は散逸してしまって(原文が)ないですよね。

そうそう、それでこれは教育上良くないからって表に出てないだけで。教科書なんかではね。
こうやって意地悪して遊びましたってのがあって、それを皆で(読んで)楽しんでたり。 嫌いなやつっているでしょ、そうすると苛めてやるってなるじゃない。それを誇張して書いてあって、それの面白さだと思うのね。

レディースコミックですか(笑)

そんなようなものだったんではないかな。

至宝の純文学ではないと。

いや、至宝の純文学ですよ、世界に誇る。
加納がインタビューでも言ってましたが、読み聞かすものでもあったんだよね。。
京ことばのやつを耳にした時、あ、これは聞くものなんだって、思いましたよ。意味はわかんなかったけど。

あの「いずれの御時にか」っていう原文は京言葉?

そうだと聞いてますよ。「あのさ、こういう話があったの、昔にね」って。で、読むのは京の公家の人たちだったから。

読み手も書き手も同じ言葉をはなす人々であったと。

言文一致であればそうなりますよね。書いてるのは京の人なんだし。

それでは、桂さんが舞台の上で(源氏物語を)語っているっていうのは、源氏をかなりつっこんだところで捉えていたものなんですね。

そうですね。言葉の面白さってのもを味わってもらえればってのがきっとどこかにあったんじゃないかなと。僕は演出家ではないので断定できないけど。
それが歌というものと調べに乗った言葉と、皆で語る台詞としての言葉と桂の語る言葉と、それぞれが違うんだけどそれを繰り返して聴かせて見せていく。それで日本語って豊かだな、面白いなって思ってもらえたら、他がやらないことをやった、とそういう意味では成功なんじゃないかなと。

←インタビュー 1 →3へ
過去のネタ帳topへ