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7月某日、恋愛考の稽古でお忙しい中、今回のお芝居についてのお話を伺うことが出来ました。 水下きよし、恋愛考と宮沢賢治を語るっ! 舞台の内容にふれている「ネタバレ」の部分があります。 賢治と恋愛 =としこへの愛=まずはじめに、今回の舞台は宮沢賢治を題材にしつつ「恋愛考」というタイトルなのか?です。 賢治のとしこへの愛? それは、もう、異常な愛でしょう。 異性として、としこを女としてということですか? まあ、妹としてもですけど、どこかちょっと近親相姦入ってる感じのする・・もちろん肉体的には ないでしょうけど、(彼女を)とことん愛してるわけですから。 そういう妹、ほしいですか? いらない(即答)。
けど、本当に可愛がっていたんでしょうね。としこは頭がいい人だったみたいだし、能力があったのに(日本女子大学家政学部 目白寮にて学生生活を送っていた。)病気になってしまったし。 共通項という試み =シグナルとシグナレス=今回の「恋愛考」というタイトルについて教えてください。 折角いっしょにやるんだからってことで、何か共通項をだそうかと。(boundの)吉田君が恋愛に関してのものをよく書いてるからね。 (宮沢賢治の)恋のお話のなかから、テキストとして選択したのが、「シグナルとシグナレス」なんですか? そうです。 吉田さんの作られてる作品(恋愛考)は「シグナルとシグナレス」をベースに作られてるんですか? 吉田さんは吉田さんで、全然違うテキストをつくっているの。bound用に。 bound用に作ってるテキストは65シーンくらいあって、一個一個のシーンは全然つながってないんだけど、ひとつひとつ完結してて短いシーン。 まるまる、「シグナルとシグナレス」 だけの話じゃないんですか? 「シグナルとシグナレス」に、(吉田さんの)テキストをいれこんでいる、って感じ。
賢治だけじゃなくて吉田さんのテキストも使うってことだからね。 「遊び」という部分を感じてほしいですか? 遊びの部分というか。うーん。 どんなとこを「観て」欲しいですか? うーん、わかんないっ。(苦笑い) 空間的には装置ありき、なのですごく難しい。 装置の中にどうその作品を埋めていって、新しい作品をつくり出すかってことをしていきたかったので。 装置ありき= boundの空間=一般的には、お話があってそこから装置を考えますが、初めに装置ありき、っていうのとではどちらが やりやすいですか? それは、もう。最初に装置がないってのがやりやすいです。 boundさんていうのは、ずーっと同じ装置で公演されてるんですか? ううん、違う違う。 ちゃんと公演ごとに装置をつくっていらっしゃる? そうそう。 どんなことにも使える分、どうなるんだかがこちらにはさっぱり見当がつかないですね。 そう。だから、まだまだわかんないのよ。 まだ装置はできてないんですか? 模型もみてるけど、同じ大きさでみてないし同じ色でみてない。素材は建築素材資材を使うんですよ、木とか。 その建築家の方は、お芝居を知っていて、いつも装置を作っているのではないですよね? 公演の装置をつくる時は、演出家の人がこんな感じって話して、んじゃ、こんなの作りましょってしてるんだと思うよ。 ふつうの芝居の大道具さんだったら、芝居の構成上、装置として、ありえない「家」をつくるじゃないですか。 そんなことはないでしょ。 ただ、構造物にはしたくないと思う。別に家を建てるわけじゃないから。 新鮮な舞台だったんですか? きれいだったよ。それは、前の作品だったけど。 装置の出来上がりが楽しみですね。 うーん。もしかしたら「どうしよう・・・」ってなるかもしれないんだけども。 もっかいそこで考えるかもしれないけど。 賢治異変 =音、からしてなんか違う賢治=お話を伺うと、「シグナルとシグナレス」のまま、ではないようですが? いや。 まま、ですよ。ほとんどまま。 間に賢治の詩が何本か挟まっているだけで。 制作も舞台監督も何もかもやっていらっしゃるのですか? いや、制作はboundの方もいてくださるし、舞台監督は舞台監督の方がいるし。 衣装、音楽等、プラン全般は、By水下なんですか? そう、プランはね。こんなのがいいんだけどねーとか。まあ、前回の「どんどこどん」の時にもやってるからね。 普段花組芝居で出てる時は、役者だけですか? そりゃ、花組(芝居)の時は、当然役者一本だけですよ。 次にお芝居をBoroBon企画でやる時には、また違うものになるとか? 全然わかんないですけどね。 その時にやりたいことを(やる)? あんまり周りでやってないようなことがいいなぁと。 その路線でずーっと行くわけではなくて、「あ、これもいいかも」って思ったようなものをどんどんやっていくと いう感じですか? んー、普通の物語もやってみたいんだろうしなあ。 「シグナルとシグナレス」は、お芝居にするより、お話してもらう形式のほうが、楽というかいいような気が するんですが、わざわざお芝居のかたちにするっていうのは大変ではないですか? いや、宮沢賢治はもう、どれもそうじゃないですか。台詞のあいだの「ト書き」がいいわけですから。 でもそういう、ト書きの部分っていうのは、台詞にしたら、なくなってしまうのでは? そうそう。それをなくてもいいから妙な世界にできたらいいなって。世界観とか、空気感っていうのかな、
「あ、変なもの観たわーっ」って。 だから、すごく好き嫌いはでるだろうし。 あのー。変な話なんですが、動くんですか? 役者が? はい。 動きますよおおっ。 動くんだ・・・(電柱なのに)。 電柱と屋根なのに、動くんですか。 うーん。例えば、夢の断片だと思ってもらえれば。夢をみた時には、電柱が動き出すだろうし。 夢だったら、おかしいなーと、思いながらも自分のなかではおかしいことがおかしくなってない。 そんな感じですか? おかしいな?って思うんだけど。感覚的には大きなもの(夢)につつまれていれば大丈夫じゃないですか。 賢治ありき =つまんなかったり説教くさかったリ金持ちだったり=賢治を読み始めたのはいつごろから、何を読んだのがきっかけなんですか? 大学出てからなんですよ。 あれ、よくできてるんですよ、作品として。 宮沢賢治っていうのは、世間の人が思ってるほど清い人ではなくてね。まぁ清い人なんだけどブルジョワ人で、
(著作は)金持ちの道楽だから。 シグナルのシグナレスに対する気持ちも、「あなたが、貧しいから、みすぼらしいから尊いのです。※」という台詞がありますが、じゃあ、シグナレスがたとえばペンキを塗りなおしたりして、きれいだったらどうなるんだ?と、思えるのですが。 それはあるかもしれないね。 (シグナルが)自分がきれいだから、相手がみすぼらしいことで自分に持ってない部分をもっている、そこに美しさをもっているってことを見つけていますよね。 そうですね。だから、思い込んだらきっと一本気に追っかけるタイプなんだろうね、シグナルは。 ・・・ぎりぎりなとこで、ストーカータイプですね。 それは、おぼっちゃんのわがままで、他にもっと魅力的な人をみたら、ああなんだ違ったって変わるかもしれないし。 (本文ではかなり、賢治にしては珍しいロマンスな場面なのだが)コメディに聞こえる・・・。 そう、そう、そう、そう。 ひょっとしたら、そういう言い方ではなくて、そう言いたかったわけではなくて。 自分の気持ちが通じるということでもかなり(賢治の作品としては)珍しい部類ですよね。大方、自分の気持ちが受け入れられないか、受け入れられても相手は死んでしまうとか。 そうですね。『めくら葡萄と虹』、『おきな草』もそうですし。めくら葡萄と虹の「※でも、あなたもきれいなんですよ。」って常に(憧れられる側だけが美しいわけではなくて)同じなんですよって、言ってると思う。 立体化することば =非日常の言葉が詩として成立すること=宮沢賢治の文章の掲載の仕方が特殊だと思いますが、その辺りは意識して読むんですか? ああ。そうだね。例えば詩が【 】でいっぱい書かれてるとか、ね。誰か違う人がいってるんだなとか、心の言葉なんだなとかね。 BoroBon 水下プレゼンツ水下さんが、こういう風に考えている、ということを普段出演者の方と話し合ったりするんですか? あんまりしませんねええ。へへ。 出来上がった本を渡して「じゃ、やってみて」って感じですか? そうですね。動いてみて、「ああ、そうなるか。じゃあ、こう動いてみて」って変更したりしてます。 お稽古に入ってどのくらいですか?(※7月上旬現在) 一月半くらいですかね? boundさんのお稽古とか、お互いのお稽古を観にいったりしてるんですか? そんな暇はない。(苦笑) ただ、僕はむこうにゲストとしてでるので、最後の一週間くらいの(むこうが)出来上がったところに行って、僕の役を
渡されて「これだよっ、このシーンに出るんだよ」っていわれるんだけどね。 失礼な言い方ですけど、今回のメンバーでキャリアから考えると水下さんが場を持って行っちゃおうと思えば いけるような気がするんですけど・・・。 それは俺が目立ちたいわけじゃないから。俺は世界観をつくりたいだけだから、絵なんかで遊びの線が一本びっと
走ってるような感じが出てればいいなあと思ってる。 ふつうに、役者としてばーっとでて、他をくってもいいから、自分の芝居をやってしまうほうがいいですか? どっちもどっちでしょ。大変なのは(今回は自分が)言い出しっぺだし。 水下さんがわーっと突っ走っていってしまって、周りが置いてかれちゃったら? 作った時にそうなるかもしれないし。だから、そうなって、ああやって、ってどう変わるかだよね。いろいろやってもらって、どうなるかな、と。 今回が2度目ですよね?水下プレゼンツというか、「BoroBon」ということでやるのは。 そうですね。この歳になってからね。 ちゃんとひととおりずーっとやってきて、こういう風になったの。
やりたいものを少しでもいいから、やっていきたいと思ってる。 観に行ったじゃないですかあああーーー。皆でぇーーーーっ。(絶叫) え? ・・・あ、どうでした? 台詞がなくて、あいうえおだけでびっくりしてしまいました。あいうえお。で愛が語れるとは思わなかったんですよ。 ああ。なるほどね。 つまんない人にはつまんないんですよね。なにやりたいんだか、わけわかんないし。あの時は、言葉をすごく、言葉っていうものに対して、50音が踊っているように出てくればいいって思ってたんだけど、うわー、すごいものをやろうとしてしまったな、と後から思って。 混沌としたものからつくりあげていく、なんか、ただただ、あいうえおの50音が大きな空間に散らばってるのが最後に 集まってくるとかっていうのがおもしろいかなってイメージだったりしてたんだけど、あとは、お客さんの想像力をかきたてて、ああ、こういうことなんだなって、勝手に思ってもらって、一個一個は「個」なんだけど、あとは何か大きなもので 包まれてればいいかなって。 アゴラの時のセットで、箱を使って組替えてるのがことばを組み替えてるみたいにみえておもしろかったですね。 そうそう、そうやって勝手にお客さんが考えてくれるじゃないですか。そんなんでいいんだ、って思ってもらえればいいの。 (見たことなくて残念です・・) おん−おんどく−ろうどく−おんどく =残るおと 残ることば=
「水下きよし」は、最近音というか「音(おん)」に凝っているんですか?
けど音が無くても大丈夫なんですよ、言葉っていう「音(おと)」は、本来リズムを持ってるし。 テーマとして「ON−DOKU」を掲げてきてますよね、最近。 物語をよんでる時は、「おんどく」ってなるより朗読になりますから、詩をよんでると(言葉の)音を読んでる、おんどく、ってなる感じがするんですよ。 素をどり、みたいな感じですか? そうね、衣装つけないっていうか紋付袴だけなのが文字だけで、物語っていうのは衣装をつけてる感じ。 ひとりかいは自分で自分だけを動かしていけばいいですが、あえて自分以外の人も巻き込むのは大変ですね。 そうですね、人をどう動かすか、人とやっていくかっていうことであえて今一歩踏み出したって感じですね。 ユニットというのは、以前に(南青山)MANDARAでやったような、音楽の出せる人と言葉のおと、のような会ですか? いえ、読み手だけで。結構、役者さんが観にきてくれて「おもしろいね」って興味持ってくれたりしてるので。 そういえば今日本語がおかしいって指摘する本が多いですが、そういうことを指摘されてうろたえてどうするって思うんですけどね。 壊れてもいいんだけど、残ってればいいんですよ。例えば若菜集とか、読んで「ああ、きれいだな」と思えば残っていくでしょ? 今の水下これからの水下 =これまでのみずした=それでは、これからやりたいなと思われていることは?この役をやりたいっていうのはありますか? 作っていくっていうことで、積極的になっていきたい。 でないとストレスたまってしまうのだぁ。(笑) この役者さんとやりたいというのはどうですか? とにかくいろんな人とやりたい。 いままでの花組芝居の上演歴で、この役やってみたかったなーっていうのは、ありますか? いろいろありますよ。立ち役以外とかね。 逆に、この役は俺のだぞ、っていうのは? どれも。 ひとり会として、東京でやったことを大阪でやったりしてますけど、東京と同じかっていうと、顔が違うなと思うんです。 うまい役者さんみたく、平均的にそつなくできないの。ほころびてるの。はははっ。 綻びてるからこそ、綻びかけてる糸をひっぱりたくなると、いうか(笑) うまくもなりたいんだけど、「すごい役者」になりたい。なんか、わかんないけど「すごいよねー」って。 え。 だって、しょうがないじゃない、結果だもん。 本日は貴重なお話をありがとうございました。 ●「恋愛考」 7/28−31 駒場アゴラ劇場にて。いつもと違うBoroBon男爵と、ちょっと変わった賢治の世界がここにあります。 一覧に戻る。 HOMEに戻る
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