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帝国インタビュアー:本日はお忙しい中ありがとうございます。 水下氏:だっておもしろいもん。 普通のお芝居の時より、もっと単純に皆さん楽しんでいましたよね。 あれが好きってのとそうじゃない人はもちろんいるんだけどね。 百鬼(夜行抄)という漫画原作の作品の後に今度はシャンソマニアと。どちらも評判が良かったですよね。別世界ですが。 そうね、(2作品は)違うものだけど180度っていう感じじゃなくて、また違う別の角度にぽーんと飛んでるのがいいんだろうね。 (百鬼・シャンソマニアと)どちらも見ている側がなにかしらの取っ掛かりを持っていますよね。漫画だったり教科書だったり、知ってる歌だったり。学生時代、源氏物語の暗誦ってやりましたよ。 難しいけどね、(観客に)いろいろな捉えかたをしてもらうことが出来たってのはすごく良かったですよ。 でもさすがにオチはないと。 まぁ、「続く」って感じだよね。
シャンソマニアでね、「えー、源氏物語にシャンソン?」って皆が考えられないのがね、「どうなっちゃうんだろ?」って思うってのがよくわかんないんだよなぁ。なんで「ああ、それ合うわ」ってすぐ思わないんだろ。 シャンソンをどうやって使うのかがわからなかったですよ。 まぁ、してやったりなんだけどね。新鮮でしょ? 大阪公演でのメンバー紹介で「この人のせいでいろいろあったから」と加納さんがおっしゃってましたが、あれは水下さんご自身のことで? いやそれはお話のことでしょ。俺はそんなにいろいろなことしてないよ(笑) 帝のこと? まぁ帝がいろいろしなければあんな話もなかったってわけで。 いや生まれたちゃったのが光源氏ってなだけでしょ、帝は正直だっただけ。その時代ではひとりだけを寵愛するってのはいけないことだったんだけどね。 一番好きなんだけど、他の人にもまんべんなく愛情を注がなくっちゃならないし。 でもやっぱり『自分ひとり愛されたい』って欲求を皆が持っているから書かれた場面のかも知れないですね。 うーん、わかんないよね。昔と今の恋愛感って相当違うと思うんだよね。 当時の女性が源氏(物語)を読んでいて「あらっ。えっ?次はどうなるのかしら?」って楽しみにしてたんじゃないかと考えるのですが。 いやそれはわかんないよ。それは現代の日本人の感覚なんだから。逆にさ、ただ単に男の人のセックスの話だったかもしれないし。 今は散逸してしまって(原文が)ないですよね。 そうそう、それでこれは教育上良くないからって表に出てないだけで。教科書なんかではね。 レディースコミックですか(笑) そんなようなものだったんではないかな。 至宝の純文学ではないと。 いや、至宝の純文学ですよ、世界に誇る。 あの「いずれの御時にか」っていう原文は京言葉? そうだと聞いてますよ。「あのさ、こういう話があったの、昔にね」って。で、読むのは京の公家の人たちだったから。 読み手も書き手も同じ言葉をはなす人々であったと。 言文一致であればそうなりますよね。書いてるのは京の人なんだし。 それでは、桂さんが舞台の上で(源氏物語を)語っているっていうのは、源氏をかなりつっこんだところで捉えていたものなんですね。 そうですね。言葉の面白さってのもを味わってもらえればってのがきっとどこかにあったんじゃないかなと。僕は演出家ではないので断定できないけど。 桂さんが関西弁というか京言葉?で話していらしゃいましたよね。関西圏のものでないので細かくはわからないのですが。 あれ(語り)のもとになったのが「京ことば台本」という室町の言葉なんです。 御座候ではないと? うん、違う。あれ(侍言葉のもの)は翻訳だから。今出回っている源氏物語ってのは全部翻訳なんですよ。 あれはきっかけは誰が出しているんですか。 演技だったり、誰かが息を吸ったところだったりしますね。 音も波ですからね。波が合っていないとだめですし。 そうです。 歌うものは最初から決めてあったんですか? はい、決まってました。 ではその前に歌のレッスンっていうのはある程度終わっていたのですか? いやぁ(笑) なんですかその微妙な笑いは。人によってレッスン量が違うとか? いやいや、ありましたよ、レッスン。一週間くらい前から歌はやってました。舞台の稽古になった時は、稽古が終わってからまたレッスン。 歌のお稽古は大変でしたか? ふはは(笑) またその「微妙な笑い」が。ファンとしてはドキドキしながら聞いてましたよ。 いやー、僕はよく指導していただきましたね。 聞いた話では、コーヒールンバはスローなものを考えていたとか? 最初はもう少しゆっくりの方が悲しくていいかなとも考えたんだけど、あのアップテンポの明るい曲調のなかで悲しい(歌詞)のを歌うのもいいかなって。 コーヒールンバは個人的に好きなシーンです。みんながおんおん泣いて踊ってて、歌詞も悲しいのに曲だけは妙に明るい、そのコントラストが。 ありがとうございます。(詞が)届いてるってことですね。(笑) (歌の)出だしを気にしているのは水下さんファンは共通ですし。 あの光源氏が生まれた時の曲も楽しいですね。 シャンソンで有名な曲らしいです。あれ、3拍子だから難しくってね。好きな曲ですよ、僕。 結構いらしてたんですか? 江川さんとか芹田さんのお客様がいらしてくださって、「面白かった」と。
まぁ、歌だけを聴こうと思ったら下手だからさ。 歌って上手い下手だけじゃなく、歌の持ってる何かが伝わるかどうかが大事だと思うんです。 それが不思議なんだよね。とっても上手いんだけどつまんない人っているじゃん。 歌は苦手ですか? いやぁ、苦手って言ったほうがいいのかな(笑) 好きですよ、歌は。あんまり歌わないけど。 又その微妙な笑いが。 では、歌うのは好きですかと訊きましょうか。 好きなんでしょうね、ほんとは。 カラオケが苦手、だけど歌うのは好きって人がいますよ。四六時中何やってても
歌っているんだけどカラオケだと歌えないので自分はオンチだと思ってる。 それ、似てますね。 では歌うことは嫌いではないんですね。 いやいや嫌いじゃないですよ。音楽もホント大好きだし。でも何か言われるのは嫌いだけど。 「いいじゃーん、楽しく歌ってんだからさぁ」ってね。 (笑) 迷惑だったら「ごめんね」って引くけどさ。 歌ってみたかった曲はありますか? 洋ちゃんの歌。あと、横道のね。「♪ひと〜の気ぃ〜も知〜らないで」って。あれいいよね。 それも勝手に変えて歌っちゃう、と。 今度の(仇討)も曲いっぱい入ってますからね。 仇討が、ですか? 6曲あるんです。 蚊たちが歌うのね。一つは2度出てくるの、で全部で5曲。 その曲を作ってもらうのは? きいてきいてっ♪(喜) こんな感じにってリクエストしてですか? ※音楽/ノビタ・ヒトヨシ氏 一応サンプルを渡してこんな感じでって言って、それを発想の糸口にしてもらって。飛躍しても全然構わないですし。 ピチカート・・・また随分とマニアックな。 周りに、花組にそーいう人たちがたくさんいますからね。 今日のテーマは『音』ですね(笑) もう全部出来てるんですか? あとヒトツですね。細かいところは稽古入ってから合わせたりと。また変わってくるんでね、絶対。 音楽監督も全部やってるんですよね。 アイデアだけですけどね。 稽古中の音はどうしてるんですか? MDです。作ってもらったものを使います。 最初ね、バンドネオンの音がいいなーと思ってたんだけど、曲自体が多くないので結局ピアソラに行ってしまって「あー海神別荘だー」となってしまう。 どんなことをなさっている方? NHKのハッチポッチステーションって番組で、グッチ雄三さんの率いるバンドにいらっしゃるんですよ、キーボードが担当で。 知らない強みですね。 このシーンにこんな曲を合わせてとかって自由に考えられるのは花組にいるからだと思う。何でも使っていいからね。それが合うかどうかだけ。 花組さんはパターンがありそうで無いですから。題材が古典であっても毎回毎回手を変え品を変えで、演出もそうだし小道具もそうですし。 そう言ってもらえるのは凄く嬉しいですよね。 役者さんにとっても忙しいことですか? 忙しい??? 創作料理と伝統料理のようなものでしょうか。 加納自身もそうでないとつまんない人なんじゃないかな。そして、突き詰めてるものがある。 今度(仇討)やるじゃないですか。それで、ここでこう歌舞伎っぽくというか時代がかった言い回しにしたいんだけどなっと思ってもそれが(DCの役者さん達には)わからないんですよ。 役者さんに伝えるのは難しいですか? うむ、難しいんでしょうね、たぶん。 わははは。 だって俺が創ってんだから。 自分が面白くないのも作っても仕方ないですしね。 でも自分がつまんないと思うものが客には面白いっていう距離感もあるわけだよ。 仇討ってお話自体はブラックですよね。 最後は悲しい話ですけど、ブラックというよりおちゃめでしょ? だって、蚊と蚤が出てきて人間と対決するんだよ? 楽しくみせられて、「え、ひょっとして悲しい話だったのかしら」ってね。
何か大きい装置(仕掛け)は使うのですか? ないです。だって小劇場、フリースペースだもん。お金も・・・ では装置は作りこむよりシンプル? そうそう、シンプルにシンプルに。 『どんどこどん』(Boro-bonだめしプロデュース 2002.1.1〜3 駒場アゴラ劇場にて)でも動かしながら変わるってのをやりましたよね。 あるものが動いて、違う空間ですよってなるのが舞台の一つのいいところだと思ってるの。 苦労はしても作ってることが楽しいと。 それはありますよ、いいものを作りたいという思いがすごくあるし。呼んでくださったカンパニーに迷惑は掛けたくないし、やってよかったと思ってもらえるものを作りたいですから。 とっても嬉しそうですね。 今はすっごい嬉しい。 でも結果がすべてだからね。これはもう、ねぇ。 もともとは大学の時ラジオで聞いてですか? いや本で読んで。 自分が出て演る?それとも観る? とにかく観たかったのよ。 それを何年かたってまさが自分が作るとは・・ だって誰もやらないんだもん。
でDCの中尾さんに会った時にこれどうですかって言ったら「おもしろいねー」って言ってくれて。 有名なラジオドラマだったんですか? そうだったと思います。僕が高校の頃だったのかな、聞いてはいないんですが、錚々たるメンバーだったそうですね。 パンフレットはどんなのが出来るのでしょうか。 えーと、写真と文章。 普通そうですよ(笑) 俺が作ってるわけじゃないから。 堀本さんという方が作られてます。今回は悩んだらしいですよ、チラシに。 チラシみるとコミカルですよね。 どういう感じに(舞台を)作りたいのですか? んー、入口出口が違った感じかな。 入り口と出口は全然別と? でも入り口と出口はすぐ隣にあるの。こっちから入ってずーっとまわって、出口は隣にある。 自分が好きだっただけにいいものを作りたいって欲求がより高くなってしまったりしませんか? なってるね。 お稽古はいつからですか。 8月31日からです。 自分がこうやりたいと思ったものと演出家の意見が違う場合はどうなるのですか。 そこで相手の意図を汲み取るわけですよ。その中でよりいいものに創っていく。そのテンションのままでもうちょっとこう、その気持ちをこちら側にカーブさせてとかしてね。 演出家ってどんなことやるんだろうって不思議に思っていたんです。 一番大事なのは感情の交通整理です。やりたいようにやってもらって行き過ぎたら止めて「ここはこうして」と。 最後まできれいに流れるようにですね。 そうですね。 ステップを踏んで次はこれをとは意識はしてないですか。 全然全然。そこにこの話があったから思い切ってやってみようと。たとえ失敗しても俺の役者生命は変わらないわけだし。花組芝居というホームグラウンドもあるし。 野望だらけですね。 そうそう。来年出来なくても近々にやりたいなと思ってね。死なないうちにやりたいなぁーと(笑) ぜひ叶えていただかないと(笑) きっと、仇討が作品として自分なりに上手くできたなと思えたら、それを踏まえてまた次へと行くのだろうし。 いいタイミングがあって、それを上手く活かせなかったら自分も次へと進めないですよね。 またキツいことを(笑) 幸運の女神は前髪だけですからね。 『どんどこどん』が紙芝居としたら、今回の仇討は一気に映画にまで行ってしまう気が・・ いやいや映画まで行かない。パラパラマンガかな。 『OINARI』も楽しみですね 楽しみです。やーっと見られるもんね、久々に加納の芝居が。 行きますともっ。 そういえば、ほぼ日に『ミラノ座に行く』って話があったの。 前段階からずーっとですね。 それでね、日本人はいいものを着てるけど一張羅じゃない。「ハレの日」じゃあないんですよ。 でも気に入ったワンピースを買うと「あの芝居に着ていこう」と思って着ないでとっておいたりしますよ。 そそ、それは大事なことですよ。 手帳眺めて「あと何日」っていうわくわくはありますよ。仕事でいろいろあったりしても、「この日になったら!」って気持ち。 決まりごとやマニュアルじゃなくて、席に着いてからこう、気持ちがんんっと思うようなものを作りたいなと思わせてくれたのは、やっぱり花組芝居であったという気がするんですよね。 好きなことを楽しむまえの、例えばバイクにエンジン掛ける瞬間とか、出かける前に化粧をする時とか、それがどう転ぶかわからないけど何かが起きることを待っている気持ちが自分のなかにあって、だから芝居を観るのがやめられないんですよね。 尊大な言い方かもしれないけど、「お芝居っていいんだ」っていう、そういう僕がいいなと思ってるものを、少しでも(役者にも)伝えられたら、体験させてあげられたらとも思うのね。 悪かったらなにが・・・とさりげなくプレッシャーを掛けてみたりして。(笑) それは演出家ですよ。進行が悪いってそういうことですよ。会議でもなんでもさ。 会議というより結婚式の司会のようですね。 同じだと思いますよ。引っ張って盛り上げて最後にって、同じ同じ。 うまくみんなの気持ちが乗るように盛り上げて落として、気持ちよくエンディングを迎えられるようにと。 そうですね。それが大事なことですよ。
俺さ、こんだけ語ってんだから、帝国はちゃんと(見て)批判しろよ(笑) それ「仇討」と言った最初から言ってます。インタビューではこの武蔵屋さんの表情をお見せできないいのが残念っ。 今はすんごく楽しみにしてるの。俺はシアワセだもん。でも、奈落に落ちるのは怖いね、覚悟してるけど。責任は、もう全責任は「私」ですから。 お稽古楽しみですね。 多分、今でDCの方がやってきた「ものづくり」とは違うと思うんですよ。きっとね。 そう思える作品が出来たってことは、きっと観客にとっても良いものと思いますよ。 今はとてもよくコミュニケーションが取れてるんです。 ご自身が「作ってるわくわく感」を感じてますね。 いろいろと想像してくださいっ。 飲めない(笑) 本当に? でも「嘘つき」って言われそうな飲み方してるだろうな俺きっと。 世の中で最低でも自分ひとりだけは盛り上げてやると。 そうそう、そうしなきゃいけない。それはひとりよがりではなくて。 交通整理のおじさんであり、盛り上げる司会者であり引っ張りあげる指揮者でもあり。 そう、いいカンパニーにしたいです。 それがオチですかーっ。 いい年ですね、今年は。 そうですね。この10年間、50歳まではモノを作ることにバイタリティーを費やそうと。 掛けるんだ・・。 掛ける掛ける、絶対。 ではミズシタさんファンに一言どうぞ。 『仇討』は来ないとっ。仇討を見に来てから語ろうよ、この芝居がどうだったかって。 まず観てからと。 そそ、とにかくほんっとに観て欲しいと。 直前インタビューも読む
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