ご無沙汰いたしておりますお元気ですかインタビュウ





帝国:(以下帝):本日はありがとうございます。

水下:(以下水):いえいえ。

帝:今は、お暇なんですか?

水:そうですね。この後9月まではずーっとお稽古と芝居ですけどね。
次の『和宮様御留(以下『和宮』)』のお稽古は3週間位しかないけど。

帝:『和宮』は、脚本(以下、本)は本公演で使用したものですよね?

水:演出家は違うけどね。

帝:劇場が違うし、なにより花道が使えるから、演出はそれだけでもずいぶん変わるんでしょうね。

水:(花組芝居とは)違う人が演出なので変わるんじゃないですか?俳優も違うし、どんな演出になるか分からないから楽しみだよね。

帝:嫌なやつですよね。若狭守って和宮側からしたら意地悪だし。

水:意地悪じゃないんですよ、日本のために頑張ってるんだから、江戸代表として。

帝:以前に、役者と演出は同時並行でもやることが違うから平気っておっしゃってましたが、今回は役者同時並行ですよね。それはどうなんですか?
さすがに国語と算数みたいにきっぱり違うわけではないんですか?

水:時間の問題だよね。ちゃんと稽古に行ける時間があって、本が早く出来上がれば、『和宮』の公演期間中に(『ドアをあけると・・・』の)台詞を覚えられるから大丈夫。
もともと(『ドアをあけると・・・』は)戯曲なので、それをどうカットするかは分からないけど。
台詞を覚えてしまえば、お稽古に行って、動きを覚えられるからね。

帝:『百鬼夜行抄2』(以下『百鬼2』)は、また蓋を開けるとびっくりするような配役なんでしょうか?

水:わっからないよーおおん?俺が司とか。

帝:・・・。うわー怖いです。すごーく怖いです。

水:あとは、加納君の配役次第です。

帝:今年は、1月から働きづめでしたね。

水:年末からずーっとね。『よいことわるいこと』があって、『ディノス(大人の隠れ家)』もあったからね。
12月、1月って撮影でした。

帝:あ、あれはこれからもずーっと続くんですか?

水:終わりました。

帝:終わり?ですか。

水:終わっちゃってるんだけど、まあ、面白いねって話があるので、今後どうなるかなーってとこなんですが、
また違う形であったらいいかなぁーと。

帝:あれって最初の何話かは、水下さんじゃない方がやってらしたんですよね?

水:あれは、いろんな人の家に(視聴者が)お招きされて、自慢の品を紹介されるってことだったみたいですよ。
だから、最初の方も3ヶ月やって、俺も3ヶ月かな。台本出来るのが遅くて大変だったんですよ。前の前の日くらいに出来て来る。

帝:あ、ちゃんと台本あるんですか。

水:あるある。最初に7商品くらいかな、まとめて撮りました。

帝:あら、いっぺんに撮ったんですか?

水:そうそう。最初はいっぺんに撮りました。あとからは一回に5 個くらいの商品紹介かな。面白かったけどね。(『よいことわるいこと』の)稽古で時間がないときとかは、もう大変でしたね、
(商品の台本が)覚えられなくて。12月の真ん中位から撮りに行って。最初のときは疲れたよ、わーもうだめだーって。

帝:撮り直しとかはするんですか?

水:あ、結構撮り直しはするよ。テストやって、本番やってって。

帝:オーディションがあったんですか?

水:そう。この商品を売り込むとしたら、どうするかやってみて下さいって言われて。向こうのコンセプト聞いて、それをやってみせる。難しいよね。

帝:ぜんぜん知らない商品を説明するんですか?

水:まあ、監督が居るから、監督の指示通りに動いてみせるだけですけどね。

帝:ご自分で欲しかった商品はありましたか?

水:天体望遠鏡は欲しかったな。あと、時計かな。

帝:時計?もしかしてガンダムのですか?

水:そうそう。敵側のね、かっこいいじゃない。

帝:ガンダムって、水下さん全然見てない世代ですよね?

水:かぶってないですけどね。いいじゃん。

帝:鉄人28号は、まんまかぶってますね。

水:ああ。鉄人28号のはね、当時はモノクロでねー。よく出来てますよ。販売する商品を探してくるのが大変なんですって。
料理器具とかあったらやりますよーって、なんでもやれますよって話したりして。   

帝:衣装も全部、テレビ局が用意したものなんですか?

水:そう、スタイリストさんがね、用意してくれます。何人かの方に「見たよー、びっくりしたよ」って言われました。

帝:ご自分は見られたんですか?

水:見ましたよ。DVDで送られて来たのと、ネット配信のと。

帝:あら、DVD送って貰えるんですか?

水:そりゃ。出演者用に。

帝:如何でしたか?ご自分で見るのは。

水:あ、ここだめだなーとか。もうちょっとこうやろうとか、反省しながら見ました。
あんまり漫画チックにやらないでって言われたんだけど、漫画チックになってたりしてたので、もうちょっと作らなくてもよかったかな?とか。

帝:懐かしいですね。「昭和のCM王」でしたね。

水:バブリーな頃ね。

帝:平成のCM王復活か?

水:いえいえ。もう。

帝:テレビと舞台はやっぱり台詞は違うんですか?

水:そりゃ違います。しゃべり方を作らないというか。あえて、作れと言われれば作るけど。普通にやって下さいって言われたら、制作側の希望に添ってやるだけだから。
制作側がその人(役者)を使いたいかどうかとか、上手い下手だけのことじゃないですからね。監督と合うかとか、クライアントが(役者を)気に入るかとか、ね。
役者の部分以外で(キャスティングが)決まることも多いですからね、CFは。

帝:今回『ザ・隅田川』のCFをネットで流されてましたね。

水:パソコンが壊れて大変でした。パソコンを新しくしたんですけど、データ取り込みし直すのが大変だった。新しいMacは、古いMacのソフトに対応してないらしくて、
ちゃんとデータ取り込みが出来なかったりとか、トラブりながらもなんとかなりましたよ。
でもね、新しい子(新しいパソコン)は性能いいのよ。コマ落ちをちゃんと感知してくれるの。

帝:コマ落ち?

水:ビデオからパソコンに(映像を)データとして落とすじゃない。1秒間に30の画(コマ)あるんだけどそれが1コマとか欠落している時があるんですよ。
どうしてだかわからないけど。そうすると読み込んでくれないんですよパソコンが。ああ、こんないいショットがあるのにって泣きながらデータを落としてました。
『ザ・隅田川』の稽古風景のDVDを作りたかったんですけど、本番中の販売に間に合わなくて。また今回は、著作権がほんとに難しくて、DVDとして販売出来ないんでね。

帝:悔しいですね。花組芝居の曲の使い方も素敵で、この曲でこの場面か!とか、驚かされる楽しみがあったりするんですけど。

水:んー。ロイヤリティの問題はねえ。いろいろありますからね。大変なんですよ。
『ディノス』でやったときに、商品で汽車のおもちゃあったでしょ。
あれで、せーんろはつづくーよって歌ったらやめてくださいって止められちゃったんですよ。

帝:ええ?

水:引っかかっちゃうんだよ、著作権に。「クレームがくるかもしれない」から歌えないの。
もうね、変なフンフンフーンってやりましたけど。

帝:へえ。

水:すごい(厳しい)でしょ。

帝:すごいですね。鼻歌もいけないんですか。

水:契約の内容によりますけどね。

帝:はあ。大人の世界は難しいですね。

水:ねえ、クラシックにしても。CDとか使えば、曲じゃなくてそのCDに対して著作権はあるからね。
何でこれ(『ザ・隅田川』)がDVDにならないのーって言われても、ほんとに申し訳ありませんって言う以外になくてね。
ぶあつーい壁がね、あるんでございます。ごめんなさい。
だからね、著作権が絡まない部分で作って、予告編をたくさん流したいなーって思ったんですよ。

帝:ああ、確かにあのCFを見た後、舞台を観ると、あ、あのCFの部分はこれだって思いますよね。

水:それで、楽しんで頂けるならと。CF見て、かっこいいなあとか、思って頂けると嬉しいですね。

帝:もう少し画質を何とかして頂けないでしょうか。

水:いやー、データが重いんですよ、画像は。だからスムーズに動かすには画質落とさないとだめみたい。ごめんなさい。
それと、今回の隅田川は15分くらいのDVDを販売出来たらなと思って日夜悪戦苦闘してるんです。ま、音は舞台のものは使えないですけどね。
画像の転換が大変で、もう、めちゃくちゃ時間がかかっちゃってて、あああああってため息ついちゃう。
(データ変換をするために)夜セットして、寝て起きたら(変換が)出来てなくて、なんでだようーって思うと、
パソコンがスリープになってて、止まっちゃったりしてて。なんだよ、つきっきりでないとだめなのかあ?って泣きながら作る(笑)

帝:なんか。それはとても大変ですねえ。頑張って早く作って下さい。

水:撮った映像のどこをカットするかっていう作業してます。
15分位の予定の超ダイジェスト隅田川は、(実際の舞台を)ご覧頂いた皆様に、舞台を思い出して頂ければいいんじゃないかなーと思うんですよね。
15分見れば2時間が蘇るっ。

帝:15分で2時間が蘇る?

水:そう、ぎゅーっと凝縮してありますから楽しみにしていて下さいね。

帝:携帯でもCFが見られたらいいんですけど。

水:なかなか難しいんだよね。宣伝になればなって思って、映像が載せられるサイトないかなーって思って探してたら、Macのサイトが映像も載せられるから、そこに載せてみました。
携帯に対応してないから、パソコン環境でないと見られないんですけど。
でも、CFを見に来てくれた人が、「結局芝居は観られなかったんですけど、観てみたくなりました」って言ってくれた人もいて、嬉しかったですね。

帝:次回もCFがあるんですか?

水:かもね。『百鬼2』でもCFが作れればなとは思いますけど。
まあ、いろいろ壁があるので、どうなるかなんですけど。百鬼はキャラクターに、ロイヤリティがあるんですよ。

帝:うわああああ。ここにも著作権の壁か。

水:映画みたいに予告があったら予告につられてきちゃう人もいるかもしれないじゃない。
そういうのがやりたいなーって思ってるんですけどね。
いろんな人にもっともっと花組芝居を知ってもらいたいというか。

帝:しかし、久々の本公演ですねえ。『百鬼2』は。

水:え、だって本公演は、この間終わったばかりじゃないですか。

帝:いえ。水下さんが出てる本公演は。

水:ねえ。

帝:2回目ですか?本公演に出演されなかったのは。

水:そうなの?

帝:いや。数えてないんですけど。前に出られなかったのって何でしたっけ?

水:覚えてないな。あれは、出た。出た出た出た。(しばし、考え込む水下氏)何かに出てなくて横切っただけとかはあったなあ。

帝:横切っただけ?ありましたっけそんなの?ご自分で何に出てないかの記憶ってないんですか?

水:んー?ま、でも久しぶりに(花組芝居を)観ましたねえ。全公演観ましたからね、東京は。
ああ、面白いなあ、花組芝居はって思ったよ。

帝:自分が出てない舞台ってどうなんですか?やっぱり、出たいなって思いながら観ちゃうんですか?

水:そんなことないですよ。いい作品だなって思って観てるよ。みんなすごいなあ。すごいすごいって思いましたね。
全体を眺めていられるじゃない?出てないから。だから、ああ、なるほど、ここはこうだからこういう反応が来るのかとか。なるほどって思うことが沢山ありました。

帝:ご自分でも演出をされることに対しての勉強になりましたか?

水:なるなる、すごいなる。ああ、リズムがいいってことはこういうことなんだなーとか、俳優の面白さが出ててすごいんだよ、花組芝居は。
存在することってすごい大事なんだなって。もうねえ、毎日観てて、ああ、こいつらは、なんてすごいんだろ、若いやつらも上手いなあって思うし、ああ俺も頑張らなくちゃなーって思いました。
自分がまったく出てないから、客観的に全体が観えて、本が意図したことが見えて来るんですよ。構造とかね。ここが(芝居として)立ってくるためには、この前の部分がしっかり出来てないとだめなんだなとかね。
(客席だと)出来上がったものが観えるしね。今日はここが上手く進んでないなあとか、今日は客席と(舞台が)一体になったなって言う瞬間が分かるじゃない。
それは何故なのか。なんでこの場面はこんなに生き生きしてるんだろう?それはやっぱり、俳優が生き生きしてるからなんだってことが見えるんだよね。 まあ、単純にあとは楽しんでるんだけど。
観てて、もう素敵。素敵―っ、みんな素敵―って(はしゃぐ水下氏)。若い子もねえ、上手いなあってね。いいもの観ましたよ。全体のリズムが良くて。ああ、もう加納はすごいなあ。って。
ベテラン勢もいつにも増してやらなきゃいけないってのはあるけど、その頑張らないんだけど、引っ張ってるとこがすごいよね。しかも魅力的でさ。

帝:客席で観てると、客席の反応って舞台で感じる客席の反応と、客席で感じるのとは違いますか?

水:んもう、違う。ぜんぜん違う。

帝:客席を意識して観ますか?

水:ああ、(お客さんて)こうやって観てるんだなあって感じますよね。声に出さなくても笑ってるのが分かるじゃない。舞台に居ても分かるんだけどね。
ああ、お客さんが反応してるなっていうのは。でも舞台より分かるな。

帝:それは、10年前に感じたことと今現在と違うんですか?

水:10年前は観てないから分からないよ。

帝:でも、自分が出てない場面は観られますよね?

水:それは比較出来ないですよ。もう、それはそれ、これはこれですから。そこに居る人で空間が埋まってればいいんだから。
でも、このシーンの見せ所はこう言った方がいいのか、っていうのが外から観てると分かるんだよね。

帝:ああ、じゃ、次やるときは、そうしようと思うわけですか?

水:・・・まあ、ねえ。肉体・・がね。

帝:え?

水:3年前位に予告してもらわないと。ストレッチとかしないとなーって思うんですけど。やらないんですけどね。

帝:やってくださいよーっ

水:裸はもう大変だよね。残酷だよね。いろんなこと観せるからね。でも可笑しいよねえ。いきなりふんどしの男が出てくるのは変だよね。
変なんだよ、でもそれでも観せちゃう。唐突なんだけどね。

帝:脱ぐときっていうのは、脱ぐからって鍛えるんですか?

水:いや、その頃はなんとなーくトレーニングしてたからねえ。

帝:なんとなくですか?

水:まあ、そんなにブヨブヨではなかったですけども。

帝:脱ぐのって恥ずかしいんですか?

水:いや、脱げと言われれば、今でも脱ぎますよ。でも裸同士で絡むって難しいよねえ。昔の俺の体を知ってる人が今脱いだのを観て、「あああ、こんなになちゃって」は、やっぱりいやじゃない。
裸云々より、やっぱり、芝居上手くなりたいよね。
上手く言えないんだけど、なんだろな?ほんと俳優って色気なんだなあと思う。ああ花組芝居の役者って素敵って思うんだよ。
外に行くじゃない、和宮で。ああ、ほんとちゃんとやろうって思いました。がんばる・・・んー頑張るってんじゃなくて。すっくと立ちたいって思うんですよね。なんていうのか、しっかりやろうってすごく思いが沸きましたね。

帝:加納さんが東京の千秋楽で「実はこの『再演二非ズ』を作ったとき、台本を全部ぶっ壊してお稽古場で作り上げました」っておっしゃってたんですけど、ぶっ壊した台本てどんなだったんですか?

水:(破棄した台本は)覚えてないな、初日にこの台本はなしにしましょうってなりましたけどね。

帝:お稽古の初日ですか?

水:そう。で、最初にビデオ大会。『隅田川もの』を沢山みんなで見て、どの場面が面白かったかってみんなで意見出したのを加納がまとめたんですよ。だからちょっと名場面集みたいなとこあるでしょ。
でも素でやるって素敵だよね。人が船になったり鯉になったり演劇的だよね、他ではない表現だよね。踊りも素敵でね。鯉の踊りのとことかすごいきれいじゃない。

帝:自分で言ってた台詞って、聞いてて思い出すんですか?

水:ああ。言ったなって思うし、ああいい台詞だなあって思うけどね。
自分で言えるかどうかは分からないけど、ああこの場面の台詞を自分で言いこなせたらなあっていうのはあったよね。
松若の最後の台詞はカッコイイよねぇ。「ドレ、作り身に掛かろうか」あれは言ってみたいよね。言ってみたい。

帝:言ってみたいですか?

水:ああーれは、言ってみたい。あーれは、かっこいい。あとはね、刺されてからの惣太ね。難しいよねえ。俺は出来なかったけどやっぱり難しいよなあって。
あれが言えたらすごいよね。刺されてるんだけど、思いを吐露するのって難しいよねえ。

帝:水下さんは苦労したんですか?

水:苦労しました。難しかったなあ。刺されたままのテンションだけじゃないからさ。動き回るしね。

帝:以前、『花組をどり』のとき、筋書きに加納さんが「座員が花組芝居の体になってきた」だったかな?そのようなことを書いてらしていて。で、今回は、その花組芝居の体になってきたと言われた役者が半数。
あとは、若い人が半数。さてどうなるんだろう。?と思ったんですけど。違和感がないというか。失礼だなと思いましたけど、意外でした。

水:(をどりから)加納も他の役者も成長してるしね。

帝:10年前、梅若だった雷象さんが、先輩と同じ列に並んでるのを観るのは感慨深いですねえ。

水:雷象のお初は良かったよねえ。任なんだろね。

帝:そーいえばっ。清玄様のコールアンドレスポンスに応えてましたね。(○○大好きなんまんみーっ)

水:コールアンド???ああ、はいはい、制作さんにね、「ぜひっ、みんなで応えてくれ」って言われましたのでね。清玄様に応えてくれと。

帝:ほー。何を言われても応えてくれと?

水:ええっ。応えてくれとっ。

帝:恥ずかしくないですか?内容はともかく、客席から応えるのは。

水:みんなが言うからね。一人だけだったらやらないよ、恥ずかしいじゃん。同じ劇団の人間が同じ劇団の呼びかけに応えるのはっ。

帝:そうなんですか。なんだか節目節目で隅田川ですねえ。10年も再演してないなんて思いませんでしたね。
ところで、おしりのポケットに何が入ってるんですか?さっきからバリバリすごい音されてますけども

水:台本。

帝:台本?

水:和宮の書き抜きです。

帝:おおおお。花組芝居のときも自分用の書き抜きなんてこさえちゃうんですか?

水:花組芝居は場面が多いからしませんよ。今回(和宮)は少ないですからね。

帝:そうですか。でも、書き抜きなんてこさえちゃうんですか?

水:だって台本分厚いじゃないですか。重いから。

帝:手書きでこさえるんですか?

水:コピーです。自分で書くよりコピーのほうが読みやすいですからね。

帝:なるほど。

水:1回上演してるので、自由自在にやりたいと思ってるんですよ。より良いものにしたいですしね。場面としては2場面ですけど。江戸代表っていうか。公家との違いをちゃんと観せていきたいですよね。
隅田川に勇気というかエネルギーをもらったのでね。
で、あとは、『ドアをあけると・・・』。本も面白いですよ。小説を基にしてっていうのではなくて、最初から戯曲として発表されたものなんですよ。で。あと、プレタポルテっていうユニットの第1回に呼んでもらったしね。

帝:水下さん1回目に呼ばれるの多いですね。

水:続いてるのは、※1うさぎ庵くらいなんだけどねえ。

帝:この後ずーっと、芝居やって稽古やって芝居やって稽古やってですねぇ。

水:嬉しい。すごく嬉しい。

帝:仕事してて嬉しいっていいですね。

水:悩みもするけどね。

帝:悩むんですか?

水:もっと上手くやりたいなあとかさ。

帝:悩んで眠れないっていうのはあるんですか?

水:自分が俳優としてやってることで眠れなくなったりはないですよ。悩みはするけども。演出してるときのほうが眠れなくなる。
演出って全体責任だからさ。作品に対しても、役者に対しても責任があるからね。眠れないときが2回くらいあったかな。本も面白くて。俳優が面白くて。でもなんだか芝居は面白くない。何故?それは演出家である俺の責任なんですよ。
何故?っていうことをすごく考える。その作業で眠れないとかはありました。役者で悩んで眠れないって言う人もいるけど。俺は演出家に任しちゃってるので、だめだったら演出家がだめだっていうことでしょうと。

帝:はははは。そうなんだ。

水:そりゃ、上手くなりたいなとは思いますよ、役者を。でも演出家は全責任だから、ね。でも楽しいんだよね。俳優って不安なんですよ、演出家がいいよって言っても自分はそれを観れてないじゃない。
自分はそこで芝居してるから。お客さんが入って反応があって初めて分かるんだよね。でも。演出家は観てる人だからね。自分で決めて、これを観せようって思うんだよね。だから自分が作り上げてるっていう手応えがあるんだよ。
加納幸和っていう素敵なお手本があって、そこまでの才能には届かないけど、(演出は)すごい楽しい。
DCのやつらと芝居作ったじゃない。それが目覚めさせたんじゃない、おいらを、演出に。

帝:水下さんて育てるってことが好きなんですか?

水:好きなのかな?先生にはなれないけど、自分がやってきて、加納から貰ってきたものがあるじゃない。それを人に伝えることは出来るからね。それで、伝えた役者がすぐには出来なくても、いつか、その伝えたことがどこかで演技のヒントになったら嬉しいじゃない。
面白いなって思って芝居やってるほうがいいじゃん。面白いって思ってないけど、上手いから役者やってます。みたいなのは観てて分かるじゃない。観る喜びがないじゃないのそんなの。

帝:なるほど。

水:隅田川観てて思うのは、肉体が語ってるなあっていうのがすごい分かるんだよ。その楽しさとか、すごく伝えたい。加納から教えて貰ったことはあちこちに横流しして、もう、加納の孫弟子沢山作っちゃう。
演出って、一日芝居観てるから楽しいね。例えば、詰まんない芝居観てたらそれは何で詰まんないのかなって考えるのが楽しいね。本なのか。俳優なのか、なんで俳優がバラバラなのかとかね。
全体のリズムが作れるし。感情の流れが舞台に出てくるのが分かるしね。
どんな芝居がやりたいとかはあんまりないけど。詩みたいなね、空間のあるのがいいな。何しろ演出って台詞覚えなくてもいいんだもん。

帝:そこか。

水:そこですよ(笑)

帝:役者ってすごいですよね。よく台詞が出てくる。

水:いや、みんな普通に持ってる能力ですからね。

帝:そうですか?

水:そうです。誰でもね、出来ますよ。『夏ノ夜ノ夢』もそうだけど、シェイクスピアの台詞っていうのは、(芝居はともかく)言いこなせたらすごいなーって思いますね。
あの台詞をちゃんと芝居に出来るっていうのはすごいことだなって。

帝:自分でお稽古するんですか?

水:しないけど、思うだけなんだけどね。

帝:思うだけなのか。

水:演出家志望だったからね、最初は。

帝:いつの間にか役者やってると?

水:うーん。好きなんだよね。なんか作って喜んでもらうの。

帝:ああ、何か作って、それを受け取ってくれる人の喜ぶ顔を観るのが好きっていう感じですか?

水:そうそう。いいものを作って観に来てくれた人から、「ああ、楽しかった、面白かった」って言ってもらえるとすーぅごく嬉しい。
でも、面白いって思ってもらえない人もいるわけじゃない。そういう人の批判もすごくありがたいと思うし。
出たいっていうより、観たいっていうのがあるかなあ。

帝:観たい?

水:そうそうこの作品が観たいな。あ、やってないのか。じゃ、作るかと。この役者で観たいって思うのが強いのかな。

帝:なるほど。

水:あとは、俳優としては、俳優としての有り様だよね。いい俳優になりたいってすごい思うし。
いいですね。良かったですねって言われるのは嬉しいもの。
この後、6月、8月、9月って役が全部違うので楽しみですね。

帝:楽しみにしております。本日はありがとうございました。

水:ありがとうございました。

涙なくしては語れない労作「お・隅田川!?」の制作の話を嬉々として語られたのと、演出についてワクワクしている様子が伺えた水下氏でした。
花組芝居について話す水下氏はもう、すごいすごいを連発していて、花組芝居の役者ってなんて素敵、すてきーっ。とはしゃいでおられました。ファンなのね。
「お・隅田川!?」については、どんな内容かちょっとずつチラ見出来るようにBOROBON通信上で掲載されていくそうなので、ご期待下さいとのことでした。
でも、早く出来ればお財布にやさしいお値段で早く販売して欲しいな。と、思うのでした。
文責 すがい。
和宮様御留 2006年6月4日〜6月26日 於:新橋演舞場
ドアをあけると・・・ 2006年7月28日〜8月6日 於:シアターVアカサカ
百鬼夜行抄2 2006年9月1日〜9月10日 於:銀座博品館劇場
同上 神戸公演 2006年9月16日〜9月17日 於:神戸オリエンタル劇場

※1うさぎ庵とは? 青年団演出部工藤千夏氏にの庵を訪れる人々とのアーティスティックコラボレーションの形。水下氏は第一回からの参加となる。

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