初日が開いたし、楽も来る!雪月花インタビュー 月の巻




お疲れ様でした。

お疲れ様でした。

(初日開いて)どうですか?

(芝居を観て)どうですか?

アンケートは、如何でしたか?

『まあ、ここまで変えて頂ければ』っていうの戴きました。(笑)

ははは。

原作を未読なんですけども。でもすごい、読まなくても、漫画の世界はこういうのなのかなあ?って。
漫画を知ってる人に聞いたイメージと、(私は)違和感がないので、こういう感じなのであろう、と。
原作は、大阪の千秋楽を観終わるまで、お楽しみにとってあるんです。

あ。そこまでとってあるんだ。

そうです。全部舞台が終わってから「あーなるほど。ここはこーだったのか、あーだったのか。」 って楽しむのに、とってあります。

まあ、漫画とは違うからね。
原作がしっかり出来上がってるから、原作から自由に飛べるし。 飛んでも壊れないし。役者が登場人物が好きで愛してるし。
元がしっかりしてるから、あそこまで遊べるってとこはありますよね。
百鬼夜行抄の世界は壊れてないと思うんですよね。

掲示板では、コメディと間違えるくらいに笑ったということも書きましたが。 もちろんコメディばかりでなくて、原作のしっとりしたというか、 しんみりした部分もちゃんとあって、笑ってる部分があるから、しっとり来るものが更に強く感じると思います。

確かに、しんみりする部分もあるからね、ぐっと来る人は来ちゃうんじゃない。

青嵐(※1)気持ちいいーですか?

気持ちい、いぃい???楽しいけどね。
お父さんの時と、二役あるし、楽しいですよ。
すごい、衣装さんが工夫を凝らしてくれていて。今回早変りが大変。架け替え(※2)もあるので。
でも、青嵐の衣装きれいでしょ?

※1 青嵐(あおあらし)と主人公・律の父 孝弘を衣装の早変りで 一人二役でこなしていらっしゃいます。着替える時間が短いです。誰です・・・ストップウォッチ持ってるのは。
観ていて、着替えてる時間を意識しないですからそれはもう、大変なことだとお察し申し上げます。
※2 架け替え→鬘の架け替えのこと。

猿之助ばりの、早変りで?

そう。じゃないと間に合わないもん。

もう、裏は戦争状態?

袖で着替えてる。

以前は鬼(※3)でしたし・・・

そうね。だからおっきな衣装は着慣れてるよね。よく動くよ、ね。?

※3 泉鏡花の「天守物語」初演('97)再演('00)とも朱盤坊<しゅのばんぼう>という鬼のお役で、 この衣装がすごいもこもこで「ごつい」衣装でした。

ええ。ええ。

花組芝居加納演出ではよく、動かされています。

動きにくいです?

普通の洋服よりはねぇ、慣れっていうのも変だけども。
(衣装がでかくて他の人が)邪魔かもしれないけど。

南北('02公演・南北オペラ)の時の衣装って体にぴったりしてて汗あまり吸わなさそうな衣装でしたけど、 今回とどっちが動きやすいですか?

どっちもどっちですよ。動きにくいっていうのとは違いますね。

今回も布団着てるようなもんだからね。(どちらも)暑いは、暑いですよ。肉(※4)もいれてるしね。
天守(物語)ん時は肉をもっとしっかり着てたんですけども、今回は肉を衣装に縫いつけてあります。

※4肉=肉襦袢。体格を良く見せるために着込む、綿で作った偽のお肉。 弁慶など体を大きく見せるお役では衣装の下に着ています。
上着の形になっていたり、ベストみたいになっていたりと場面・役によって肉も様々。  

あの、衣装は漫画に合わせているんですか?

いや。合わせてない・・・ですね。
例えば尾白尾黒、弁慶(の格好)なんですよ、原作は。 あの二人が、二人で弁慶の衣装で入って来たら大変でしょ、空間が無くなるでしょ。他に誰も居られないでしょ。

じゃ、邪魔・・・

邪魔でしょ(笑)どこで演技をすればいいの?になっちまうので、あの衣装。

ちぬの君の従者の衣装もきれいなんだよなあ。

妖魔チームの衣装は手間暇掛かってますよね。

そうですね。きれいでしょ!

ええ。

(自分では衣装姿は)見られないからなあ。

テレビ(映像)で見ても、やっぱり違うっていうのはありますが。

しょうがないんですけどねえ。テレビは、空気が伝わらないからねえ。
スポーツの生中継とか見てても、やっぱり観に行ってるほうがおもしろいじゃないですか。 あの、空気がねえ。伝わらないしねえ。
テレビでしか見られないっていう状態もあるけど、でも、やっぱり、生でね、あの「空気」を感じて頂きたいですよね。

話の中心を青嵐で観てしまうんですけど。
人によって、登場人物の誰に視点を置くかっていうところで見方が変わりますよね。

そうですね。

(青嵐は)律をからかって喜んでる部分ありますよね。親じゃない。

うんうん。
律との契約じゃないんだよ。蝸牛との契約だから。
だから、犬と同じなんだよ。主人の言いつけは守るの。主人以外は、自分と同列だから。 (守らないと)怒られちゃうから守ると。そういう感じかな。
(律と)同等と思ってるかもしれない。いつも一緒にいるからね。

守護って欲しいですか?

守護?守護霊っているでしょ?

守護と、守護霊は違うんじゃ・・・?

うーん、でもペットで竜がいたら、楽しいよね。

ペット?

うん。ペットで竜がいたらおもしろいよね。

ああ。やっぱり、空飛んでもらわないと。

そうそう。

守護っていえば。おもしろいのはインディアンの社会ではね、トーテムって守り神、守護があるの。 動物なんですって。熊とかライオンとか。
この人のトーテムは何だってのを部族の呪術者、 偉い人が決めるんだけど、サインがあるっていうの。その(授けてもらう人に降りてきた)サインをみてあなたの守り神は 「グリズリー(熊)」とかってするんだって。東洋的な思想でおもしろいなーって。
狩猟民族−アイヌ民族など−の考え方で、殺した物は神にしてありがとうって奉ってしまう。 「良かったんだよ、殺されて、お前は殺されたから神になったんだよ」と。
神さんにするというのがいいよね。感謝の念があるということだから。

守護がいたら何がいいですか?

へ。守護・・・自分の性格が反映されそうだからなあ。

いや、守護はそうじゃないでしょ。
誰かが、「見てるよ」っていえば、悪いことしないんじゃないかな。 守護霊が悪いと、悪い人になっちゃうかもしれないけど。
でも、守護するってんだから、守るんでしょう。

長いですよね。二時間半。

長いですか?

休憩が入るところで、終わりなのかなって思えるとこもあるんですよね。
結末がないなっていうのは、あるんですけど。ああここで終わってもありかな、って。

ああ。

悪い言い方すれば、連載まとめて読んじゃったな、と。

そうねえ。だから「また来週ー」なんて言ってるけど。

観ていてあと何分?って時間を気にしてしまうことはないですね。

むつかしいのはさ。ヘタしたら、お話が並列で終わってしまうってのがあるじゃない。 エピソードがあるだけで終わってしまうとおもしろくないんだよね。

お話のなかで律が変わっていく、青嵐が変わっていくっていうか、 ちゃんと展開していく話にしないといけないわけじゃない。何かが変っていかないと、 同じような話の並列で終わってしまう。それだと非常につまらない話になってしまと思うのね、 そのあたり(変化を見せていくこと)は役者の責任だな、と思います。

漫画を題材にするとそれをすごく 守ろうっていうお芝居が多いけども、漫画を題材にして発想していく、 そこからの相乗効果で新しいお芝居をつくるというか、 (離れるんじゃなくて進化するという方向でやっていくことが)やってよかったかな。と。
どだい、無理なわけじゃない、漫画と同じにするのは。妖魔は出てくるし、男だけの劇団だし。 でも底流だけは、しっかり掴んでおいて。

そうですね。
原作ものが難しいと思うのは、イメージが出来上がってるとこが大きいですよね。
特に漫画は見た目もしっかり出来上がってますよね。それを壊すなり守るなりのジレンマがありますよね。
でも、全く同じでなくてもその役のイメージとか雰囲気が感じられればいいんではないでしょうか。

そこで、勘弁してもらわないとねえ。だって、コスプレ大会になってしまう。

役作る上で自分で設定とか、どんな気持ちで律を守っててとか。

考えない。だって、書いてあるもん。その通りに、やるの。
それをやれるかどうか、ね。

青嵐って絹さん(※5)のことどう思ってるんでしょ。

どう思ってるんだろうね。
嫌いじゃないんだよね。苦手なんだよ。

14年の夫婦ですよね。

苦手なんだよ。だから、なんかあるといろいろと言われちゃうし、すいませーんて(謝ってしまうし)。

結局絹さんには勝てないんだ。

勝てない、勝てない。絹さんには、勝てない。

妖怪って恋愛感情あるんですかねぇ?

さー。そうだなあ。でも大姫(※6)はあるじゃない?

※5・6 演目の内容に触れています。注釈は巻末にございます。

大姫は人間の妄執だから。

雄も雌も無いような世界だからね。あそこら辺は。
(絹さんは)親切な人だと思ってるんじゃない。エサくれる人。

ちょっとうるさいけど。

うん。

指輪、外さないですよね。

そこはね。大事なの。外さないとこにポイントがあるのよ。
あれ、孫悟空の輪っかなんだよ。

ははあ。なるほど。
青嵐ってお父さんのことは、どう、思ってるんでしょうね?

お父さんのこと知らないんだよね。使いにくい体だなー、って思ってるけど。 愛着はあるんじゃないかな。車とか、服みたいな感じなの。

青嵐ってしょっちゅうなんか食べてますよね。

ひもじいんですよ

大根がぶってやって(齧って)ましたよね。あれは、ご自分で考えて?

いや、皆で考えて。

役者が、大根持ってるわよ、役者が大根持ってるわよって、ウケました。

いや、二回目だから(笑)大根持つの。

泉鏡花の「夜叉ヶ池」初演('91)再演('95)の萩原晃役で、大根を持って登場する場面がありました。

食べてる芝居多い気がするんですが・・

そう?本物はあんまり食べてないと思うな。実際に食べておもしろければ本物使えばいいし、 本物じゃなくてもよければ、偽物。

初日に見たときは客席に意外と男性の方が目立ってて。 出版関係?とも思ったんですが、原作のファンかな?と。

(男性が)読むのかなあ。女性が多いでしょ?

まあ。でも男性でも少女漫画好きな方もいますし。

少女漫画ねえ。読まなかったなぁ。俺の友達で詳しいのがいたけど。
おもしろいよって言われて、あれは、読んだよ。「森の歌」・・・じゃなくて。

風と樹の詩・・?(かぜときのうた/竹宮恵子 作)

そうそう。

全巻?

全巻。

漫画で他に読まれるものはありますか?

今はうーん、スピリッツとかビッグコミックオリジナルとか、ぱらぱらっと。
「昴」っていう、バレリーナの漫画はもってるよ。9巻か10巻かな?

単行本買っちゃう漫画はあんまりないですか。

そうねえ。ああ「あしたのジョー」は全巻じゃないけど持ってるな。全巻そろえたいと願ってます。 マガジン、サンデーの世代だからねえ。巨人の星、読んでたり。
今、読みたいのはね。楳図かずおの最初の頃の怪奇漫画。

恐怖シリーズ?。

あれはよく読んでた。へんな漫画、好きなの。

伊藤潤二系とか?

うん、好きですよ。 楳図かずおの「蛇女」とかねえ。面白いよね。

(いや・・面白いよねって言われても。)

ジョージ秋山の「銭ゲバ」という名作があったんですよ。 クレームがついて、連載中止になりましたが。お金に汚い話だったから。

今回はセットの作りこみがすごいですよね。

そうですね、花組芝居では初めて、なくらいな。民家というか、家屋一軒舞台に建ててますね。

「かぶき座の怪人」('01上演)もすごいセットでしたけど。 わりと今までの舞台はシンプルなセットでしたよね。実際作る時は、
ものすごい大変なんだけど、観るとすっきりしちゃってるというか。

まあシンプルですよ、今回も。建物があって、垣根があるだけ。

うーん・・・。今回小道具まだ壊してないですか?

壊してない、壊してない。

今回壊すような持ち道具ないですよね。

そうね。

大道具が壊れそう・・・。

障子とかね。びりっと・・・。

やる前に、お祓いはしたんですか?

やりました。

いつもお祓いをするんですか?

いや。四谷様とか、将門もの(※7)とかの時にはね。 今回のお祓いはすごく丁寧にやってもらえたんですよ。来てくださった神社さんが芸能の神様だったんです。

※7 '02上演・南北オペラ。原作は鶴屋南北の遺作「金幣猿嶋郡(きんのざいさるしまだいり)」、 将門の霊を扱った作品でした。
鶴屋南北の作品を上演する時はお祓いをすることが多いのだそうです。

お祓いは劇団が「やりたいから」ってやるんですか? (上演内容が内容だからって)劇場が呼んだりするんですか?

お祓いは劇団がお願いして来てもらいます。

衣装はどのくらいから、つけて(着用して)お稽古するんですか?

おいらは、今回稽古中はつけなかった。前に(大口袴は)はいてたことがあったから、 なんとなく大きさとか幅とか、わかるから。
でも、振袖とか、長袴とか、勝手がわからなかったら、 着けて稽古しますよ。個々の役者の問題ですね。

大根、毎日新しいんですか?

毎日じゃないです。

日ごとに短くなっていくのかと・・・

それは(笑)ぼちぼち。

青嵐、格好よく終わりますよね。

最後ね。
でも最後の最後は格好良くない。みみず食べてるしね。

最後はおばーちゃんが。

おばーちゃんがねー。

すでに、妖怪の域のおばーちゃんが。

おばーちゃんね。すごいからね。(笑)
今回は花組芝居っぽくもあり、 花組芝居っぽくもなく。 たまたま今回このお話を頂いて、ああ、こういう話も花組芝居でやっても面白いなあっていうのは感じましたし、 お客様も楽しんで頂けているんじゃないかと思えるから、よかったなあって思ってます。

南北(オペラ)から今回、の変り方がすごいですよね。がらっと変わってて。

いろいろあって、楽しいでしょ?

一面だけでなくて、いろいろみられて、楽しいですよね。
お客さんの反応は舞台から見て「ああ、ここで笑ってるんだったらもっとやっちゃお」とかあるんですか?

それは、僕はやらないかな。ここでこう来るから、 こうしたらどうかしらって試してみることはあるけど。
ここで前はこうだったから、さらに、っていうのはないかなあ。

『獅子てんやわんや』、(お客さんに)通じてるんですか?

昨日かな。わかるねー、客席の年代が。ウケてたよ。ああ、30代以上ねって。

ショーケン(萩原健一)は判る人が多いんですか?

歌がわかんない人が多いんじゃない?。

初日を待つ側としては、幕が開くまで初日が来るまでわくわくで待ってるじゃないですか。
でも幕が開いた途端に「まだまだ千秋楽は来ないでー」ってなるんですけど。

今回はドキドキしました。初日。反応がどうなんだろうかと。

お客様の反応は良い感じではないでしょうか?

そうですね。ここまで裏切ればっ(笑)。ここまで壊せばっ。 そこがそう来るならしょうがないでしょっという感じがあるんじゃない。
しょうがないっていうか、まあ最初は戸惑ってるみたいなんだけど。どう観ていればいいのか? どういう話になるのか。普通に観ていいの?って。
俺が出てきた瞬間に、もう普通じゃないんだけどね。
それが、あれぇっ?って戸惑いがあるのはしょうがないかな。でも、悪いことではないかなと。 全体的な受けはいいかなって思いますね。

(私は)友達と観てたんですけど。「笑うところが、違ってるよ。」って。
漫画を知ってる人は、漫画を知ってるとこで笑いますよね、花組を知ってる人は、 (漫画やお芝居に関係ないところ。花組芝居を知っているところで)ちょっとずれてるとこで笑ってるというか。

ああ、それはあると思うんですけど。まあ、それが嫌味にならなければいいなあと思いますね。 それを狙って作ってる訳ではないですからね。
まあ、花組芝居を知らないお客様に来て頂いても、 「ああ、楽しく観ていいんだ」って思ってもらえると嬉しいですね。

本日はありがとうございました。

ありがとうございました。                              (公演中・銀座にて)

※5 律の母。青嵐が父・孝弘の体を入れ物にしているので形の上では夫婦。
※6 源頼朝の娘。夫を実の父に殺された恨みで妖魔となった。今回の上演の為に、 特別出演のお役。原作の漫画では尾白が化けたお姫様。

・・モリノウタ。水下さん、それは、亀屋万年堂の銘菓です。
と、突っ込みたかったが、とっさに思い出せなかった・・・歳かしら。
「お菓子のホームラン王」ってCMは最近見ないなあ。
風と樹の詩の読後感を、何故聞かないのか?と思われる方も多うございましょう。
聞きたかったですとも。ええ。それはそれで。また別の機会にとっておきましょう。
ふっふっふ。


次回、公演終了インタビュー「花の巻」に続く。   (文責 す@舎監)





             
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